2008年12月25日木曜日

地域が支える学校(15)教科・部活人事に意見

(読売 12月20日)

人事について意見が言える規定は、どう運用されているのか。

事例1:校長はその年で定年だったが、副校長はまだ1年目。
校長の学校運営協議会での評価は高い。
要望を出して、定年を延長してもらった。

地域住民が学校運営に参画するコミュニティスクールの大きな特徴は、
人事について意見が言えること。
協議会は、新年度の校長の人事構想について説明を受ける。

事例2:クラスが学級崩壊状態になっている教員がいた。
校長がどう指導し、他の教師がどうサポートしてきたか、
協議会は校長から説明を受けた。
結果的に、教員は自ら異動希望を出して転任した。
こうした場合、学校側の詳しい説明によって、うわさの独り歩きが避けられた。

東京都杉並区の場合、協議会からはこれまで、
「部活指導のできる先生を」、
「読解力向上のため、国語の指導力のある先生がほしい」、
「今後も生活指導に力を入れたい。あの先生に残ってほしい」といった要望。
今のところ、実現率は高い。
「用務員の評判がいい。続けて雇って」と求めた例も。

事例3:地域との連携をより進めるため、校長の提案を受け、協議会長名で、
社会教育主事の経験者か長期社会体験研修を積んだ人を要望。
実際に配置された社会教育主事経験者は、経験を前向きに生かそうとしている。
山口県の小学校の例。

一方で、「協議会から要望は色々出たが、いずれも実現はしていない」
と答える教育委員会もある。
指定校が増えれば、実現率は低くなる。
要望に沿えない場合、人事権を持つ都道府県教委が理由を説明する責任も。

教育委員会や学校単位で定める規則で、
人事に意見が言える点をあいまいにする教委もある。
当初、教員を異動させられる制度という点ばかりに学校関係者の注目が及び、
制度の根幹があいまいになっているのは不幸なことだ。

国際シンポジウム「地域住民や保護者が参画する学校運営の在り方」で、
日本のコミュニティスクールのモデルの一つとなった英国や、
米国、韓国の教育関係者と、日本のコミュニティスクール関係者が意見交換。

基調講演で、玉川大学教職大学院の小松郁夫教授は、
日本の制度は、教委主導型、校長支援型、ボランティア型が多いとした上で、
今後、学校運営協議会が<辛口の友人>としての役割を果たしていくべき。

「コミュニティスクール」の原型は、世界恐慌後の米国での
地域復興と人づくりにあった。
英国の教育関係者は、「学校理事会の理事(日本なら学校運営協議会の委員)
と校長の信頼関係が大切」と強調。
韓国の教育関係者は、「校長のリーダーシップは最も重要だ」

地域が学校にかかわる流れは、世界の潮流だ。
他国の事情も参考にしたい。

◆「人事の意見反映」70%

日本大学の佐藤晴雄教授らによる昨秋の調査では、
コミュニティスクール185校のうち、人事に関する意見を出した学校は33校。
うち、約70%は意見が反映された人事。
要望の中身は、教員を特定しない一般的要望が73%、
他校の特定教員がほしい36%、自校の特定教員を転出させないでほしい27%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081220-OYT8T00190.htm

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