2008年12月27日土曜日

酸性雨、目にしみます…各地の銅像に涙のような筋跡

(読売 12月25日)

酸性雨の影響で、屋外の銅像に筋のような跡が残る
「アシッドライン現象」が各地で起きている。

修復作業が作品を破損しかねないとの心配もあり、
管理する側は対応に苦慮している。

九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の「福博であい橋」に立つ「三人舞妓」像。
愛らしい表情をした舞妓たちの顔には、
いずれも涙を流したような筋模様が痛々しく残る。

後藤恵之輔・長崎大名誉教授(環境科学)は今年4月以降、
福岡、北九州市や大分県別府市などで、屋外に置かれた銅像の状況を調査。
舞妓像のほか、福岡県の有形文化財に指定されている
「銅造亀山上皇立像」(福岡市博多区)、長崎大文教キャンパスにある
「若人の像」(長崎市)などに、アシッドライン現象が起きたり、
広く変色したりしているのを確認。
商店街のアーケードなど雨にうたれない場所の銅像には、跡はなかった。

後藤名誉教授によると、同現象は、酸性雨によって銅が酸化して
流れ落ちる結果、起きる。

環境省によると、酸性度を示すpHの数値が5・6以下の場合が酸性雨
2002年までの20年間の国内平均値は4・77で、ほぼ横ばい。
後藤名誉教授は、「酸性雨による環境破壊が、市民一人ひとりにとって
身近な問題であることを認識するきっかけにしてほしい」

銅像を管理する側は、簡単には修復などに手を付けられない状態。
舞妓像がある福岡市の公園管理課は、
「芸術作品には、作者の意向が込められている。
塗装などを施せば、作品の印象が大きく変わってしまう恐れもある」

亀山上皇の立像は、2001年に文化財指定。
福岡県教委文化財保護課は、「酸化した表面部分を削り取れば、
逆に銅像がもっと傷んでしまうかも知れず、
単純に修復すればいいというものではない」

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20081225-OYT1T00429.htm

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