(読売 12月25日)
酸性雨の影響で、屋外の銅像に筋のような跡が残る
「アシッドライン現象」が各地で起きている。
修復作業が作品を破損しかねないとの心配もあり、
管理する側は対応に苦慮している。
九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の「福博であい橋」に立つ「三人舞妓」像。
愛らしい表情をした舞妓たちの顔には、
いずれも涙を流したような筋模様が痛々しく残る。
後藤恵之輔・長崎大名誉教授(環境科学)は今年4月以降、
福岡、北九州市や大分県別府市などで、屋外に置かれた銅像の状況を調査。
舞妓像のほか、福岡県の有形文化財に指定されている
「銅造亀山上皇立像」(福岡市博多区)、長崎大文教キャンパスにある
「若人の像」(長崎市)などに、アシッドライン現象が起きたり、
広く変色したりしているのを確認。
商店街のアーケードなど雨にうたれない場所の銅像には、跡はなかった。
後藤名誉教授によると、同現象は、酸性雨によって銅が酸化して
流れ落ちる結果、起きる。
環境省によると、酸性度を示すpHの数値が5・6以下の場合が酸性雨。
2002年までの20年間の国内平均値は4・77で、ほぼ横ばい。
後藤名誉教授は、「酸性雨による環境破壊が、市民一人ひとりにとって
身近な問題であることを認識するきっかけにしてほしい」
銅像を管理する側は、簡単には修復などに手を付けられない状態。
舞妓像がある福岡市の公園管理課は、
「芸術作品には、作者の意向が込められている。
塗装などを施せば、作品の印象が大きく変わってしまう恐れもある」
亀山上皇の立像は、2001年に文化財指定。
福岡県教委文化財保護課は、「酸化した表面部分を削り取れば、
逆に銅像がもっと傷んでしまうかも知れず、
単純に修復すればいいというものではない」
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20081225-OYT1T00429.htm
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