(岩手日報 10月24日)
第64回国民体育大会「トキめき新潟国体」で39位に終わった
本県は、2016年開催予定の岩手国体で総合優勝を狙うが、
その実現は極めて厳しい。
天皇杯(男女総合)得点は744・5点、優勝の地元新潟が2426点。
その差は約1700点。
優勝8点の個人競技換算で、これから全国王者200人を
育成しても優勝できない。
地元国体まで7年。
岩手は今、冷静に現実を見つめ直す岐路に立っている。
「岩手国体、大丈夫?」と不安が広がる結果。
目標の30位どころか、前回大分国体の36位さえ下回った。
「得点配分の高い団体競技の底上げが必要」、
「成年の競技力向上が急務」
何年も同じ課題を言い続けている。
競技団体の育成体制を責めることはできない。
有志で熱心に競技普及に努めている。
国体順位は過去10年間、30~40位台。
これが岩手の実力だろう。
成年不振の理由は明白。
県内に就職口がなく、スポーツ選手を支える環境がない。
今後、県内でトップ選手を育てても、いずれ実業団などの
競技環境を求めて県外流出する。
ホッケーを町技とする岩手町の成功例こそあれ、
雇用環境と競技力は切り離せない。
天皇杯得点は参加点10点と、入賞(8位以内)で加算される
競技得点で構成。
岩手は秋の本大会37競技中、21競技が参加点だけで
競技得点はゼロ。
新潟は、5競技以外はすべて入賞。
低迷する順位を嘆くことはない。
岩手が厳しいスポーツ環境で戦っているだけだ。
都道府県順位を争う意味にも、疑問が残る。
1964年の新潟国体から45年間、開催地優勝を逃したのは
2002年の高知(10位)だけ。
当時の橋本大二郎知事が、「何が何でも開催県が天皇杯を獲得する、
という考え方は前提としない」と発言、一石を投じた大会。
それ以降も、地元のメンツを懸けた「異常事態」は止まらない。
どこも臨時採用や契約社員など、「即戦力」をそろえて優勝を目指す。
07年秋田国体後、当時の寺田典城知事は、
「競技力向上に十数年で44億~45億円を費やした」
国体に合わせ、県外から選手や指導者を呼び寄せたが、
「助っ人」たちが離れた翌08年国体は23位、今大会で30位に急降下。
これでいいのかと違和感を覚える。
一過性の栄光を数十億円で買うよりも、
優勝にこだわらず地元選手が安心して競技を続けられる
環境を整備すべきだ。
既存施設を利用し、岩手の人材を生かす指導システムを築けば、
県全体が享受できる国体の「成果」となる。
会場地問題も大切だが、本当に必要なのは2016年国体以降も続く、
岩手のスポーツの将来像を描こうとする情熱。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091024_14
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