(2009年10月21日 毎日新聞社)
<数学を用い、限られた資源で、
新型インフルエンザと季節性のワクチンをどう作り分けるか、
個人の感染予防が社会に与える影響などを算出。
感染症に対し、個人の問題と社会の関係を両方同時に考える
必要性を主張する>
数理モデルによって、経済や脳の働きに関する研究を行ってきた。
7年前、新型肺炎(SARS)が流行した時、
自分の通勤電車に海外からの帰国者が多く乗っていた。
感染の広がりに不安を感じ、感染症を研究に取り入れ始めた。
新型インフルエンザが発生し、うがいや手洗いなど
感染予防のための努力は指摘される。
個人の心がけが社会にどのような影響があるか分かれば、
動機にもなる。
同じように、感染者を減らす効果があるワクチン何人分の接種に
相当するかを考えた。
その結果、個人から個人への感染力を10%減らすことができれば、
1600万人分のワクチンに相当し、
20%減らせば3200万人分に相当することが分かった。
個人の行動に基づいた家庭や学校の人間関係の
ネットワークによって、社会レベルの感染状況が時々刻々、変化。
私が取り組む「複雑系」という学問分野のテーマであり、
数学を用いて対策に貢献できると考えている。
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◇あいはら・かずゆき
北九州市生まれ。東京大大学院工学系研究科博士課程修了。
東京電機大助教授、北海道大客員助教授、東京大大学院教授などを
経て、03年10月から現職。
編著「社会を変える驚きの数学」(ウェッジ選書)など。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/21/109580/
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