2009年10月27日火曜日

菊池雄星投手、涙の決断 米断念「未練ない」

(岩手日報 10月26日)

どれほど悩み続けたのだろうか。
どれほど厳しい決断だったのだろうか。

日米両球界から注目を集めた花巻東高の菊池雄星投手(3年)が、
最終的に選んだのは国内プロ野球。
25日の会見終了間際、感極まって涙があふれた。

米挑戦への未練を断ち切るように、
「悔いはない。今は日本ですべてを出し尽くすことだけを考えたい」
18歳の苦渋の決断だった。

約15分間の会見が終了する直前。
菊池投手の目がうるみ、唇が震えた。
一筋の涙がほおを伝うと、もう限界だった。
あこがれ続ける米メジャー挑戦を、
「ひとまず封印して、日本一の投手になる」と宣言した男に二言はない。

それでも夢は夢。
米8球団が、わずか30分間の面談のために足を運んでくれた。
「(米スカウトに)期待させて申し訳なかった」との思いがよぎる。
会見中、何度も「たくさんの方に迷惑をかけた」と謝った。

岩手の剛腕は、才能ゆえに苦しんだ。
154キロの快速球は、自らの心をえぐる「もろ刃の剣」だった。
会見開始の午前11時直前まで、
受け答えの練習を繰り返していたという菊池投手。
報道陣約100人が集まった花巻東高内の会見場所に現れると、
口を真一文字に結び、緊張した表情で着席。

「昨日(24日)、監督や両親と話し合った結果…」
そこまで言って沈黙。
一呼吸置き、「日本でプレーさせていただきたいと思います」と表明。
カメラがたく猛烈なフラッシュの嵐の中、
菊池投手の表情はこわばる。
最後まで笑顔はなかった。

父雄治さん(49)は、「カメラに囲まれて話をして、
最後に緊張の糸がほどけたのでしょう」と涙の理由に思いを。
甲子園を沸かせた左腕は、「日本の方全員に(実力を)認められ、
納得された上で大リーグに挑戦する。
(国内と)決断した以上、プロで活躍して恩返しをしたい」と抱負。

運命のドラフトは29日。
「12球団どこでも行く」と明言する菊池投手に、
最高の笑顔が戻るはずだ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091026_6

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