2009年10月31日土曜日

唐辛子:脂肪燃焼の仕組み解明 「減量」に裏付け

(2009年10月23日 毎日新聞社)

唐辛子の辛み成分が、脂肪を燃焼させる仕組みが明らかに。
「辛いものは苦手」という人向けに、辛くない新種の唐辛子も
国内で開発。
唐辛子の最新の研究成果を踏まえた効能を紹介。

唐辛子は、中南米原産のナス科植物。
コロンブスが、1493年、最初の唐辛子をスペインに持ち帰り、
日本には16世紀、ポルトガル人宣教師により伝来。
ハバネロやパプリカ、シシトウなど数百~数千種類あり、
辛み成分「カプサイシン」量により、辛み種と甘み種に分けられる。
ピーマンは、甘み種の代表。

カプサイシンに脂肪燃焼の効果があることは、以前から言われてきた。
実験結果は動物レベルにとどまり、人での効果は不明。

4月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、
オランダなどの欧米の研究チームが、エネルギーを消費する
「褐色脂肪細胞」が成人にも存在することを明らかにした論文が掲載。

味の素健康基盤研究所が、動物レベルの実験で、
唐辛子の辛み成分が交感神経を通して、褐色脂肪細胞を
活性化させる詳細なメカニズムを明らか。

脂肪細胞に、エネルギーを貯蔵する白色脂肪細胞と、
エネルギーを消費して発熱する褐色脂肪細胞がある。

肥満について研究する京都大大学院の河田照雄教授
(食品分子機能学)は、褐色脂肪細胞は加齢とともに減少、
肥満のメカニズムには、過食や肉体的活動の低下に、
交感神経の活性低下。
交感神経によって活性化される褐色脂肪細胞が、成人で見つからず、
唐辛子のダイエット効果を疑問視する見方も。

河田教授は、「今回の研究成果で、唐辛子の効果の信ぴょう性が
一層高まった。褐色脂肪細胞の活性化が肥満の改善、
生活習慣病の予防につながる可能性が高く示唆」

◇辛み少ない新品種も登場

辛くない唐辛子の研究も進んでいる。
味の素健康基盤研究所は、辛さが通常の唐辛子の
1000分の1以下の新種の唐辛子を開発。
カプサイシンに代わる辛み成分は、化学構造も特定、
「カプシエイト」と命名。

カプサイシンは、消化管から吸収されて血中を回るため、
心拍と血圧を上昇させてしまう副作用があるが、
カプシエイトは体内に吸収されず、交感神経だけ活性化させる。
北米肥満学会で報告。

カプシエイトは、製品化まですべて日本で完成された
数少ない天然食品成分。
同社は、サプリメントとして製品化し、食材としての販売は検討中。
同研究所の小野郁主任研究員は、
「カプシエイトは、神経伝達を介してエネルギー代謝を促進。
体内に吸収されないため、カプサイシンのような大量摂取による
副作用の心配が少ない有効な食品成分」

褐色脂肪細胞を活性化する交感神経は、辛みとともに甘みなど
「おいしさ」を感じることによっても刺激。
唐辛子と同じく交感神経を活性化するカフェインを同時摂取すると、
それぞれの食材を別々に摂取するのに比べ、
エネルギー消費量が大きく増加する。

今後、褐色脂肪細胞を活性化させる唐辛子の摂取方法などが注目。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/23/109737/

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