(読売 10月20日)
中学校の英語教師が小学校の教壇に立つことで、
授業の魅力を高める試みがある。
奈良市立田原小学校の英会話の時間。
「Can you play tennis?」、「Yes, I can.」
教室にいる6年生8人が、2人1組になって
こんなやりとりを交わしていた。
相手の持っているカードの単語を言い当てるゲーム。
質問を作って問いかけ、当たるとそのカードがもらえるルール。
英会話のゲームを指導していたのは、
担任と外国語指導助手(ALT)、市立田原中学校の英語教師、
鳥海一美教諭の3人。
ALTと共にルールを説明するのは、鳥海教諭。
小中一貫校である田原小と田原中で、
9年間のカリキュラムに沿った指導の中心。
小中一貫校になったのは、2005年4月。
政府の構造改革特区の認定を受けて、校舎がもともと
隣り合わせだった両校を、パイロット校に選んだ。
体育館を隔てて隣接していた校舎を、渡り廊下でつなぎ、
職員室も一緒にした。
学校要覧や教師の名刺も、「田原小中学校」と印刷。
カリキュラムは、1~4年生を前期、5~7年生(小5~中1)を中期、
8~9年生(中2~3)を後期に区分。
英会話の時間は、全学年でほぼ週1回、中学校の「英語」の
教科書を使った授業は5~6年で週1回、前倒しで勉強。
分担は、鳥海教諭が英語の指導、ALTは発音など。
担任は、補助教材「英語ノート」に沿って教える部分を担当。
新学習指導要領は、「外国語活動」について、
「学級担任の教師又は、外国語活動を担当する教師が行う」と規定。
担任には、英語教師やALTと子どもをつなぐ
大きな生徒役のような役割も期待。
カードゲームに担任が交ざるのも、教わる立場になることで、
子どもたちの気持ちを理解する意味合い。
全校児童が81人の小規模校にあって、ゲームをするにも、
いつも同じ顔ぶれという状況に変化をつけることに。
鳥海教諭は、小中連携の効果を、
教員間のコミュニケーションが増える点。
英語担当の教員と担任が常に同じ職員室にいることで、
授業の進め方や子どものつまずく点などを意見交換し、
日常的に子どもの様子を知ることができる。
田原小は、中学校が隣接しており、田原中の学区にあるのは
田原小1校だけという物理的な好条件。
木口篤校長は、「複数の小学校から1か所の中学校に進学する場合、
建物を一緒にすることはできなかったかもしれない」
鳥海教諭も、「中学校から小学校まで通って教えるのは
時間もかかるし、別の小学校の職員室を訪ねるのは
心理的な壁がある」
意思疎通の円滑化が、小中連携のカギを握る。
◆英語ノート
小学校の外国語活動用に、文部科学省が作成した補助教材。
教科書のない外国語活動で、教える内容を全国で
統一化するねらいがあり、全国の小学校に無償配布。
電子黒板で単語を指すと、外国人の発音で読み上げる機能など。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091020-OYT8T00225.htm
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