2009年10月29日木曜日

病院間の診療応援 岩手・無床化半年 地域医療の行方/3

(2009年10月22日 毎日新聞社)

県立高田病院の石木幹人院長は、毎週火曜日、
住田町の住田地域診療センターにいる。
センター唯一の内科医が退職した4月末以降のこと。
「無床化前は、住田町に行かなかった」

病院に戻る前、同町内にいる末期がん患者宅へ訪問診療へ。
仕事は増えた。
「入院患者も20-30人ぐらいいる。
本当はあまり外を出歩きたくないんだが……」

県医療局は、無床化の理由として、
「医師の過重労働解消」を挙げた。
今年3月まで、地域診療センターに基幹病院から医師が派遣
(診療応援)され、当直を勤めていた。
医師は、休日・夜間も忙殺されていた。

県医師支援推進室によれば、今年度の診療応援の件数は
2595件と、前年度同月の2601件とあまり変わらない。

中央と磐井病院は減少したが、1年間で医師が2人増えた
遠野病院は35件から144件に、2人減った釜石も71件から96件、
高田病院も50件から67件と増えた。

応援の実数は、もっと多いとみられる。
石木院長のように、住田町に住む高田病院の元入院患者への
訪問診療は、「応援」に数えられない。
訪問診療をやめるわけにもいかない。
末期がん患者の場合、自宅で看取らせてあげたいと、
退院させ、訪問診療で治療を続けている事情も。

無床化後、高田病院の入院患者は増え、赤字続きだった
病院の収支は改善。
住田センターで、新たに内科医1人の勤務が内定、
医師の多忙さが劇的に解消される見込みがない。
陸前高田市は5月、高田病院を支援し、維持・存続させるため、
庁内会議を作った。

市立の2診療所や市内の開業医との連携策を探る。
県立病院の当直の一部を、地元医師会で肩代わりする
宮古市の例を想定。

陸前高田市は、開業医と市立診療所の医師を合わせて7人。
市内の医師団体「松風会」も高齢化のため、
医師会機能を手放し親睦団体に変わった。
「医師の絶対数が足りない」。
市民生部の清水久也部長が嘆いた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/22/109651/

0 件のコメント: