2009年12月20日日曜日

寿命1・3倍、体はスリム 雄なしで誕生のマウス 免疫も強く、東京農大など

(2009年12月14日 共同通信社)

雄が全く関与せず、2匹の雌の卵子から誕生させたマウスは、
通常の精子と卵子の受精を経て生まれたマウスより、

1・3倍長生きだとの研究を、河野友宏・東京農業大教授と
川原学・佐賀大准教授がまとめた。

体重は通常マウスの3分の2しかなく、免疫機能が強い傾向。
河野教授らは、「哺乳類で雌の方が長生きなのは、
精子の遺伝情報が寿命にマイナスの影響を与えているため」、
「寿命には多様な側面があり、人間にも当てはまるかは分からない」

哺乳類には、父母のどちらから受け継いだかによって
働いたり働かなかったりする「インプリント遺伝子」がある。

河野教授らは、精子から伝わった場合にだけ働く遺伝子のうち、
胎児の発育に必要な遺伝子を働くようにした「雄型」の卵子を作製、
その核を別の卵子に入れてマウスを誕生させる方法を開発。

これを「二母性マウス」と名付け、
最初のマウス「かぐや」の誕生を2004年に発表。

今回は、二母性と通常の雌各13匹の成長を観察。
二母性の寿命は平均841・5日、通常の同655・5日より長く、
生後1年8カ月時点の体重は、二母性が平均29・4g、
通常マウスの同44・9gより軽かった。

遺伝子を調べると、通常マウスでは、成長ホルモン分泌に関係する
Rasgrf1という遺伝子が父方から受け継がれて働いていたが、
二母性では働いていなかった。
これが、体重差などに影響しているらしい。

河野教授は、「雄は繁殖競争に勝つため、体を大きくすることに
エネルギーを使う結果、寿命は短くなるのではないか」

※インプリント遺伝子

哺乳類が、受精後に発育していく過程で、
両親から伝わったうちの一方だけが働く遺伝子。
河野友宏東京農業大教授らは、インプリント遺伝子の一部が
精子のように働く卵子を作り、別の卵子と合わせた
2個の卵子によって、マウスを誕生。
1個の卵子からコピーの子ができる「単為生殖」とは、厳密には異なる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/14/113036/

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