(毎日 12月15日)
「プレミアム会員券」の試作品を手に、
「ベースボール北海道」(BB北海道)の統括プロデューサーを
務める中田元茂(46)は、笑みを浮かべた。
「これを、どうプロモーションして売り上げにつなげられるか。
それが成功のカギになる」
野球の独立リーグ、BB北海道の設立が発表。
設立準備委員会は、企業を経営しながらNPO法人で
環境問題に取り組んできたメンバーが中心。
広告代理店を経営する中田は、「野球を通じて道内を活性化したい」
選手給与は月額10万円程度で、初年度は札幌、小樽両市に
計2チームを置き、順次拡大していく予定。
四国・九州、関西などの先行リーグは、観客動員の伸び悩みに加え、
不況がスポンサー収入に影を落とし、経営難が浮き彫り。
道内経済も、昨年度の完全失業率が平均5・1%と
全国平均を大きく上回るなど冷え込みが続く。
その荒波の中で、BB北海道はあえて船出を決断。
光も見える。
少年から大学まで、チーム数が4000を超え、
野球熱は高いにもかかわらず、選手の受け皿は少ない。
「各都市の間に距離があり、四国のようにそれぞれ特色も違う」
札幌市には、04年から日本ハムが本拠地を置くが、
広大な北の大地でそれを生で目にすることができるのは一部。
地域性、プロとの共存の可能性では、勝算は十分と見る。
収入の柱に掲げるのが、「プレミアム会員券」。
観戦チケット5枚に、協賛者の店舗・施設の利用時に
割引を受けられる特典を付け、1口2000円で販売。
初年度は、広告料は無料とする方針、協賛者は元手なしで
集客促進できる上、特典を厚くすることで野球に関心の無い人にも
購入してもらえる可能性が広がる。
すでに30以上の法人・個人が手を挙げ、購入申し込みも
100件近くに上っている。
先行リーグも後援会などを設けているが、個人会員(一般)は
1口1万円前後が主流。
BB北海道の低価格戦略は際立っている。
公益性を高めるため、リーグの財団法人化を目指し、
2球団を一括運営する方針。
運営費は、年間2億~3億円が見込まれるが、
会員券を目標の20万人に売りさばければ、
売り上げは4億円で収益が出る計算。
中田は、「札幌だけでも200万人近い人口がある。
不可能ではない」と自信を見せる。
関西リーグ、紀州の竹中則行社長は、
BB北海道の取り組みについて、
「最初は、スポンサーの助けがなければ苦しいかもしれないが、
方向性は決して間違っていない」と評価。
不況で、広告収入頼みの経営モデルが崩壊しつつある中、
新たな手法はどんな成果を上げるのか?
11年春の開幕に向け、BB北海道は動き始めている。
「地域密着」を掲げて、各地で誕生したプロリーグが苦境に直面。
景気の先行きが見えない中、存続に向けた模索が続く。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091215ddm035050002000c.html
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