2009年12月21日月曜日

老いを支える制度活用を 包括センターが相談窓口

(2009年12月11日 共同通信社)

一人暮らしの高齢者の大きな支えとなるのが社会保障。
制度をよく知って賢く使いたい。
仕組みのポイントや生活の心構えをまとめた。

▽身なりに乱れ

82歳の男性、2年前に妻が特別養護老人ホームに入って
一人暮らしになってから、身なりが乱れ始めた。
掃除をしないため、部屋はごみが散乱し、
台所には虫が大量発生する状態。

妻を担当する職員が気づき、町の地域包括支援センターに連絡。
担当者が、害虫の駆除の手配などを手助けした。
判断能力も衰え、要介護認定を受け、
ヘルパーが週に数回、家事援助に入ることに。
お金の引き出しにも不安があるため、行政サービスの利用や
手続きなどを助けてくれる社会福祉協議会の
日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)を利用。

▽よろず相談窓口へ

一人暮らしの高齢者が頼りにしたいのが、
高齢者の"よろず相談"を受け付ける地域包括支援センター。
社会福祉士や保健師、ケアマネジャーらが常駐。
全国に3976カ所(2008年度)ある。

介護保険の利用方法や閉じこもり予防、体操教室の案内、
生活に関するさまざまな情報なども得られる。
介護保険制度を利用したい場合、まず地域包括支援センターや
市町村に相談。

制度を使えるのは、原則65歳以上の要介護認定者。
居宅サービスの限度額は、要介護の程度により
月額4万9700~35万8300円。自己負担はこの1割。
介護を受けながら最後まで一人暮らしをしたい場合、
費用を介護保険だけで賄うのは難しいが、
24時間対応のヘルパーや在宅医を確保できれば可能。

近所の訪問看護事業所に聞けば、医師の情報などが分かる。
介護を受けられる施設には、特別養護老人ホームや
老人保健施設、療養型病床、介護型有料老人ホーム、
認知症グループホームなど。

地域にもよるが、費用の目安は月額20万円前後
有料老人ホームは、一時金が数百万~数千万円程度かかる。
体験入居で確認して、決めた方がいい。

70歳からの医療費の窓口負担は、現役並み所得者を除き1割。
入院などで医療費がかかる場合、所得に応じ上限額がある。
介護費と合算した上限額も設けられた。
市町村によって、独自の低所得者減免もあるため、確認して。

▽遺族年金に違いも

年金は25年の加入が必要で、国民年金の場合、
満額は月約6万6千円。
遺族年金は、夫が厚生年金なら、報酬比例部分の4分の3を妻が受給。
国民年金なら、子どもが18歳になる年度の末日までが支給対象。

生活資金に困った時、自宅を担保にお金を借りられる
「リバースモーゲージ」や、社会福祉協議会の
「生活福祉資金貸付制度」も利用できる。

生活保護を受ける場合、地域で最低生活費の基準額が決まっており、
支給額は年金など収入との差額。
保護対象になると、医療費や介護費が無料。

▽見守りサービス

一人住まいで心配なのが、万が一の対応。
時々様子を見てもらいたい場合、市町村や社会福祉協議会、
特定非営利活動法人(NPO法人)などが行っている
見守りサービスや緊急通報サービス、民生委員に頼む方法も。
配食サービスも、安否確認を兼ねて活用できそう。

東京都千代田区の地域包括支援センター菰田俊樹相談員は、
「日ごろから周りに困っている、助けてほしい、と言えるようにしておく。
自分がどんな暮らしがしたいか、あらかじめイメージしておく
老い支度も必要」とアドバイス。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/11/112946/

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