2009年12月24日木曜日

特別支援教育(7)自立・就労へ重点指導

(読売 12月10日)

発達障害がある若者が社会で自立できるよう、学習を支援。

冬の穏やかな日差しが入る小さな教室。
2人の生徒が国語、英語、数学の問題を解いている。
「はい、終わり。じゃあ、答え合わせしようか」という女性教師に、
生徒の大和田聡美さん(仮名)(20)は、「えー。難しいよ、これ」と苦笑い。

名古屋市の見晴台学園は、学習障害(LD)がある子どもの
保護者らが設立した無認可の学校で、中等部と高等部がある。
高等部は、3年間で学力の底上げをはかる「本科」と、
その後2年間で自立・就労を目指す「専攻科」がある。
専攻科には、職場体験や調理実習などの授業もある。
いずれも6人ほどの少人数で授業を行い、
5年かけて「理解する喜び」をじっくり育む。

同学園には、子どもに知的障害がないため、
特別支援学校などに入学できないが、
「一般の学校で学ぶのは難しい」と判断した保護者が通わせている。
現在、本科11人、専攻科10人が在籍し、
東京から親と転居してきた生徒も。

「開校20年目を迎え、義務教育を終えた発達障害の生徒が
しっかり支援を受けられる学校は今も少ない」と、
藪一之学園長(44)は嘆く。

大和田さんは、専攻科の2年。
相手が話す言葉が抽象的だと、十分理解できない。
この日は、来春の定時制高校入学を目指し、過去の試験問題に挑戦。

小学生時代、わからないことがあっても教師に聞けず、
友達ともうまく意思疎通できないことで悩んでいた。
今は、「友達もできたし、先生に何でも聞けるようになった。
自分に自信が付き、前向きになった」と、社会に出ることを楽しみに。

春日部市の自然学園は、通信制高校の技能連携校という形で
高校卒業資格を得られる高等部(3年)と、
その後の自立に向けた学習を行う大学部(原則2年)をもつ。

現在4人が通う大学部では、パソコンの操作法や文書作成、
電子メールの使い方などを中心に、ビジネスマナー、
コミュニケーションなどを指導、職場体験も行っている。

大学部1年の小谷俊明さん(仮名)(20)は、
読み書きが困難な「ディスレクシア」などの障害。
同県内の定時制高校を、3月に卒業。
在学中に経験したスーパーなど複数のアルバイトで
度々上司に怒られ、自信を喪失、同学園大学部に入った。
入園後、読み書きの指導を重点的に受け、
「先生方が、自分の障害を理解してくれているので、うれしい。
頑張って早く就職したい」

働きたくても、働けない人は多い。
小林浩・学園長(47)は、「企業は、障害者を雇うよう促されているが、
発達障害がある人で、障害者手帳を持っている人は少ないのが現状」

社会で自立するための勉強が報われるよう、受け皿作りを急ぐ必要。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091210-OYT8T00192.htm?from=nwlb

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