2009年12月21日月曜日

逆風の中で:第7部・地域プロ/2 BCリーグ6球団

(毎日 12月16日)

苦難の経営を強いられた原因を問うと、関西独立リーグ、
紀州の竹中則行社長は苦渋の表情。
関西には、地元有力紙と呼べるものがない。
当初から危ぶんではいたが、メディア露出の少なさは
想像以上に痛かった」
創設1年目の今季、世間を騒がせたのは、リーグの金銭問題と、
男子に交じってプレーする吉田えり投手の話題ばかり。
リーグとして、発信力を欠いたのは明らか。

地域密着を掲げる独立リーグにとって、
地元メディアの協力は必要不可欠。
北信越を中心とするBCリーグは、6球団すべてがスポンサーや
パートナーといった形で、地元有力紙の協力を得ている。
08年度決算で、赤字ゼロを達成した石川の端保聡社長は、
「地元のメディア、通信、金融機関の3者の協力なくして、
この事業は成し得ない」と力を込める。

BCリーグの福井は今年7月、福井新聞社が球団経営を引き継いだ。
球団は初年度、約3500万円の赤字を計上、
今季も5月末で1800万円の赤字。
福井新聞社専務の吉田真士球団社長は、
「資本金をほぼ食いつぶした状況で、不安は大きかった」
福井は石川、富山など近隣県から1年遅れる形で、
リーグ創設2年目の08年から参戦。
ようやく誕生した県民球団が、わずか1年余りでつぶれてしまっては、
「プロスポーツ文化で、福井が取り残されてしまう」と吉田社長。
「地域が活性化することが、新聞社の繁栄にもつながる」
という観点から、球団に手を差し伸べた。

7月以降、専従の球団代表と営業スタッフの2人を派遣、
経営の効率化を図り、積極的な紙面展開でサポートを続けている。
吉田社長は、「有力コンテンツというよりは、
郷土愛の象徴ととらえている」
試合の翌日、スポーツ面のトップ記事として扱うだけでなく、
地元開催の前には展望記事や特集面が組まれる。

取材を担当する運動部は、08年のリーグ参入を前に
部員を1人増やした。
「県内のトップチームとして扱う姿勢は、
経営に乗り出す前から変わらない」と近藤修運動部長。
すべての遠征に同行できているわけではないが、
他の5球団を支える地元新聞社と記事や写真の交換で、
協力体制をとり、地元開催時と変わらない紙面展開を実現。

日々の報道や事業を通して築き上げたネットワークを、
スポンサー営業などに生かせるのも強み。
吉田社長は、新聞社が球団経営に関与し続けることには
疑問を持っている。
「球団を、一企業のものにしてはいけない。
地域に密着し、福井を元気にできる球団の土台作りのお手伝い」
今は、すべての県民に支えられる球団として、
独り立ちさせるための過程だととらえている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091216ddm035050160000c.html

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