2010年10月9日土曜日

ノーベル賞:炭素新素材開発の2氏に物理学賞

(毎日 10月6日)

10年のノーベル物理学賞を、炭素の新素材「グラフェン」を開発した
英マンチェスター大のアンドレ・ガイム教授(51)=オランダ国籍=と
コンスタンチン・ノボセロフ教授(36)=英、ロシア国籍=に授与。

グラフェンは、炭素が六角形につながったシート状の新素材で、
厚みが原子1個分しかない。
現在知られている素材の中で、最も薄くて強く、銅と同程度の
電気伝導性があり、熱伝導性も最も高い。

ガイム氏らは04年、炭素の蜂の巣構造が何層も重なり、
鉛筆の芯の材料として使われている「グラファイト」(黒鉛)に、
粘着テープを張ってははがす作業を繰り返して薄片をはがし、
原子1個の厚みの層(グラフェン)を分離することに成功。

ごく薄い構造を持ったグラフェンは、「驚異の物質」として、
物理学や材料科学の分野で注目、
太陽電池や液晶ディスプレー、従来のシリコン製を上回る性能の
半導体への応用が期待。

ガイム氏は00年、カエルを生きたまま磁力で浮かせる実験で、
「イグ・ノーベル賞」(物理学賞)を受賞。

◇同じ分野、大変残念--「カーボンナノチューブ」飯島氏

炭素の新素材では、炭素原子がサッカーボール状になった
「フラーレン」を発見した英米の3氏が、96年のノーベル化学賞を受賞、
グラフェンはそれに続く受賞。

日本では、グラフェンが円筒形に丸まった
「カーボンナノチューブ(CNT)」を、91年に発見した
飯島澄男・NEC特別主席研究員(71)らの受賞が期待。

飯島氏は、「同じような分野なので、大変残念。
一緒に受賞ならいいなと思っていたが、置いていかれちゃった。
理論的にリードしてきた安藤恒也・東工大教授が
共同受賞でないのも、合点がいかない」と悔しさ。

CNTの量産技術を開発した遠藤守信・信州大教授は、
「新素材として非常に強いインパクトがあったことが、
早期の受賞につながったのではないか」と分析。

フラーレンを研究する篠原久典・名古屋大教授は、
「CNTは、発見から十数年が経過した。
今後、本当にいい応用例が出れば、
飯島さんが受賞する可能性は十分にあると思う」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/10/06/20101006ddm002040054000c.html

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