2010年10月9日土曜日

部活新時代(1)走って鍛えて 書道熱演

(読売 9月23日)

「もっと力強く書いて!」
墨汁で手足を真っ黒にした女子高生が、
縦4m、横6mの巨大な紙に大きな筆を振り下ろす。

愛媛県四国中央市の県立三島高校の教室。
軽快な曲が流れる中、書道部の女性部員11人が、
1週間後に地元で開かれる「書道パフォーマンス甲子園」
向けて、練習に励んでいた。

同甲子園は、「紙のまち」として知られる同市で、
書道ブームに乗った街おこしとして始まった。

同甲子園を描いた映画『書道ガールズ!!』の公開で、
認知度が一気に高まり、3回目となる今年の参加希望校は、
前年(4県5校)の4倍近く(11府県18校)に急増。
初めて、書類審査も行われた。

パフォーマンスのおかげで、魅力を多くの人に知ってもらえた」、
映画のモデルにもなった同高で、書道部顧問を務める
阿部秀信教諭(33)。
かつては部員集めに苦労したが、
今は毎年数人の入部希望者がいる。

練習は、運動部顔負け。
筆を握る前、2km走に腕立て伏せ、腹筋、スクワットなど
トレーニングは欠かさない。
パフォーマンスに使う重さ10kgを超える筆を、
自在に操るには、体力も求められる。

「作品を書く様子を、人前にさらす必要はない」などの批判も。
部長で3年の近藤友希さん(17)は、
「書道の楽しさが伝わり、書道を始める若い人が増えればいい」

7月31日、同市立体育館で行われた本番。
部員たちは、そろいのはかま姿で登場。
惜しくも3位に終わったが、約3000人の観客たちは
地元校の健闘をたたえた。

暗い、地味と言われがちだった文化系の部活に今、活気がある。
90年代から00年代にかけ、「~甲子園」と銘打つ
文化系の大会が相次いで登場した影響。
高知県などが、92年に始めたまんが甲子園から、
ディベート、版画、短歌まで。
いずれも高校生たちが一つの会場に集まり、審査員の前で
作品の制作や発表のパフォーマンスを競う。

全国高校文化連盟会長の藤原正義・岩手県立盛岡第四高校長(60)は、
球児だけでなく、文化系の活動に励む高校生たちにも
注目が集まるのはすばらしいこと。
パフォーマンスは、表現力の向上につながり、
社会に出ても必ず役に立つ」

学力や体力、道徳意識の低下を背景に、部活が注目。
中学と高校の新しい学習指導要領にも、
その意義などが初めて明記。
時には地域も巻き込み、様々に変容しながら
展開する実態を追った。

◆書道パフォーマンス甲子園

高校生が、文字の美しさや表現力を競う大会として、
2008年に始まった。
1チーム最大12人が音楽に合わせ、
特大用紙(縦4m、横6m以内)に自由に書く。
制限時間は6分。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100923-OYT8T00236.htm

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