2010年12月14日火曜日

総合学習を生かす(13)指導案を例示「質」保つ

(読売 12月10日)

総合学習には教科書がなく、テーマややり方を自由に決められる反面、
授業の進め方に戸惑うことも少なくないが、
愛知県岡崎市には教師向けの“あんちょこ”がある。

市立城北中学校3年4組で行われた総合学習の授業。
テーマは、地球温暖化だ。
広瀬浩司教諭(36)が、計11kgのペットボトルが入ったバッグを
見せながら、「これは、日本国民1人が1日に使うあるものの重さですが、
何でしょう」と質問。

答えは、「日本国民1人当たりの1日のエネルギー消費量を換算した
石油の重さ」。
環境団体が試算したもの。
「エネルギーとは石油やガス、電気などのこと。
生活の中で、エネルギーを消費すれば、二酸化炭素が排出される」

広瀬教諭はこの日、市教育委員会が作成した指導案を活用。
生徒に配ったプリントにある主要8か国の1人当たり
二酸化炭素排出量を表した棒グラフも、
市教委が集めた参考資料から転載した。

市教委は今年度から、環境保全への参加や環境問題に取り組む力を
着けさせようと、市内の公立小中学校に、
年15時間の環境学習を総合学習などで行うよう要請。

小中の9年間で系統立てて学べるよう、学年ごとの学習項目などを
「環境学習プログラム」としてまとめ、指導案や資料、確認テストも
盛り込んで冊子にした。
プログラム作成に携わった一人でもある広瀬教諭は、
「指導案通りに授業をする必要はなく、独自の教材を使ってもいい。
困った時は助けになる」

背景には、総合学習が苦手な教師の存在があった。
市教育研究所の中村公治・所長補佐は、
「総合学習は教科書がなく、どのように授業をすればいいか
困る教師もいる。
教育の質を確保するために、指導案の例示も必要という結論」

兵庫教育大学大学院の佐藤真教授(教育方法学)は、
「学校や教師によって、授業の質に差がある現実を直視し、
市が授業モデルを示したのは評価できる」と語る一方、
「教師が提示された指導案で満足してしまい、
形だけの授業になるのが心配」と懸念。
授業を子どもの実態に合わせないと、
探究力や思考力は決して身に着かないからだ。

市教委は今後も、各学校の実践報告をもとに、
プログラムの検証や良い授業の事例集の作成を行う考え。
授業作りの模索が、自治体ぐるみで続いている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101210-OYT8T00334.htm

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