2010年12月16日木曜日

減塩メニュー広めよう 新潟県やニューヨーク市、英国で先進的な活動

(2010年12月9日 毎日新聞社)

日本人の塩分摂取量は、依然として多い。
過剰摂取は高血圧を招き脳卒中、心筋梗塞、胃がんなどの
原因となるため、減塩メニューの普及に乗り出す自治体も現れた。
海外では、食品メーカーや外食産業の取り組みも始まっている。

荒川規矩男・日本高血圧協会理事長(福岡大名誉教授)によると、
高血圧になる人は、食塩の摂取が少ない民族ほど少なく、
塩を使った加工食品をたくさん食べる文明国に多い。
日本では、群馬県や秋田県に多い。

日本人の成人の1日あたりの塩分平均摂取量は約11g(08年)。
厚生労働省は、「男性9g未満、女性7・5g未満」を推奨、
日本高血圧学会は、さらに少ない「6g未満」を提唱。
荒川さんは、「減塩食を広めれば、高血圧は確実に少なくなる」

新潟県は、昨年度から「にいがた減塩ルネサンス」を始めた。
県民の塩分摂取量は、全国平均よりやや高い11・5g。
塩分摂取と関係する胃がんの死亡率は、全国でワースト4位、
脳卒中死亡率もワースト7位。

汚名返上を狙って、「食塩1日1g減」を目標に、
モデル企業と保健所が連携した社員食堂の減塩メニュー開発や、
家庭・レストランでの減塩料理の普及に取り組んでいる。
プロ、アマを問わず参加できる減塩料理コンクールを開いており、
その入賞作品をまとめた「受賞作品レシピブック」は好評。

昨年のコンクールで優秀賞を受賞した「かづや食堂」(十日町市)の
「焼き野菜と白身魚の甘酢ジュレ」は、
同店の定食メニュー(750円)として人気。
考案した経営者の根津勝治さん(70)は、
「濃いめのだし汁と甘酢を使い、食塩の使用を0・9gに抑えた」

モデル企業の一つ、東京電力柏崎刈羽原子力発電所では、
社員食堂のみそ汁の食塩を、1杯1・5gから1gに減らしている。
カロリーの少ない野菜たっぷりの減塩ヘルシーメニューも開発し、
メタボリック症候群になりそうな肥満気味の男性20人に、
半年間毎昼食べてもらったところ、7人が体重を減らすことに成功。

同社の取り組みに協力する柏崎保健所管理栄養士の
鈴木一恵さんは、「ダイエットに成功した人たちは、減塩をきっかけに
1日1万歩以上歩くなど、健康への意識が高まったようだ」

社員食堂や家庭で、塩分を減らすだけでは十分とはいえない。
血圧に詳しい木村玄次郎・名古屋市立大大学院教授によると、
日本人が1日に取る塩分の約8割は、加工食品や外食が占める。
「加工食品の塩分を1割減らしても、味覚に影響することはほとんどない。
食品企業や外食産業が、足並みをそろえて減塩に取り組めば、
大きな成果が期待できる」

海外では、先進的な減塩活動が進んできた。

ニューヨーク市は今年1月、市民の塩分摂取量を、
今後5年間で2割減らす活動を始めた。
レストランに協力を呼びかけ、メニューに含まれる塩分を、
5年間で25%減らすよう求めているほか、スーパーには減塩ハムや
薄味ポテトチップス、塩分の少ないトマトケチャップが登場。

英国政府も6月、今後15年間で1日3g以下にするとの目標。
既に減塩のピザやフライドポテトも出ている。
海外の減塩事情にも詳しい荒川さんは、
「日本政府や自治体は、こうした国々や新潟県を見習ってはどうか」

新潟県は、減塩料理コンクールの「受賞作品レシピブック」(09年)を
希望者に配布(送料別)。先着100人。
問い合わせは、県健康対策課(電話025・280・5198、ファクス025・285・8757)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129567/

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