2010年12月17日金曜日

スポーツ政策を考える:広畑成志・日本共産党スポーツ委員会責任者

(毎日 12月11日)

日本共産党は、「国民が主人公」となる社会の実現を目指す中、
スポーツを国民の権利と位置づけている。

スポーツは、国民が保障されるべき活動であり、
国づくりにスポーツは欠かせない。
今後、スポーツ団体と関係者および政府、他党との討論や
意見交流を通して、人間の諸能力の開花を促すスポーツの
多面的な発展につながるような政策の形成にかかわっていきたい。

文部科学省のスポーツ立国戦略は、
「スポーツを通じて、幸福で豊かな生活を実現することは、
全ての人々に保障されるべき権利の一つ」としている。

スポーツすることを、初めて権利として認めた文言で、
国際的な水準の方向に一歩踏み出したものと言える。

しかし、スポーツの権利は、国民の自由な活動を確保するため、
基本的人権を構成する思想信条の自由と結社・表現・集会などの
自由を包み込んだものであるにもかかわらず、
今回の立国戦略では、自己展開を含めて不十分で、
まだ据わりきっていない。

自由で自主的な活動であるスポーツを擁護し、どう発展させていくか?
そのために政治は何をなすべきか?
モスクワ五輪ボイコット時のような政治的介入ではなく、
スポーツ施設の拡充、充実、指導者の配置、競技者の活動保障などの
環境整備を財政的に支援するのが政治の役割であり、責任でもある。

長引く経済不況の中、雇用が不安定になって余暇時間が削られている。
経済格差も進んで、スポーツをしたいけどできないという問題が生じている。
スポーツを楽しめる自由な時間を国民が確保でき、
社会的サービスとして国民が無理なく適切な費用で楽しめるような条件を
整備していくことが非常に大事だ。

文科省の来年度のスポーツ関連予算の概算要求は、約238億円。

今年度より10億円ほど多いが、それでも先進国の中では極めて少なく、
スポーツ立国戦略を公表した直後の予算としても、さみしい金額だ。
これでは、スポーツに対する低い位置づけや貧しい枠組みを
変えることは難しい。
そこから脱し、社会のニーズに見合った予算を獲得することが
求められている。

広州アジア大会を視察した。
卓球の福原愛選手は、インタビューに中国語で答え、
地元ファンに笑顔で手を振っていた。
他の国の人たちと自然体で交流している姿を見て、ステキだと感じた。
彼女が、国際的な大会で力を発揮できるのは、
インターナショナルなセンスがあるから。

そういうセンスを育んでいけば、対戦相手をメダル争いの敵ではなく、
ライバルとして尊重する発想が生まれてくるのではないか。
そんな点も、21世紀のスポーツマン像を論じ合ううえで必要になる。
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◇ひろはた・せいじ

1944年生まれ。東京教育大卒。日体大大学院修了。
大学講師などを経て、スポーツ研究者として活動。
著書に「終戦のラストゲーム」。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/12/11/20101211dde035070033000c.html

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