2011年6月7日火曜日

緊急連載 学校と震災(2)遠足 安否確認が難航

(読売 3月18日)

3月11日、東京ディズニーシー(TDS)。
板橋区立板橋第五中学校の3年生24人と引率教諭5人は、
卒業式を1週間後に控え、最後の思い出作りの遠足中。

午後3時40分集合と決め、5班に分かれてアトラクションを
楽しんでいる時に、東日本巨大地震が発生。

同中では、校外活動の際、各班に1台ずつ携帯電話を持たせている。
TDSでは、従業員に声をかければ、事務所経由で引率教員の
携帯電話へ連絡を取るシステムがあるため、
この日は生徒たちに携帯電話を持たせていなかった。
教員から、生徒たちに連絡を取る事態は想定しておらず、
避難したくても集合場所で待つほか、手段はなかった。

入園者が長い列を作って、なかなか進めない通路もあったことから、
生徒全員が集合場所にたどり着いたのは、
地震から2時間半後の午後5時半。
携帯電話が通じにくくなり、学校にいた小川達夫校長(54)に、
公衆電話から、「生徒は全員無事」との連絡が入ったのは同6時。

引率教諭の一人が、液状化した道を泥だらけになりながら
舞浜駅まで向かい、帰宅は危険だと判断。
現地にとどまることにした。

建物の近くは危険なため、ゲートの外で生徒たちが雨交じりの寒風に
震えていると、近くのホテルオークラの送迎バスが通りかかった。
交渉したところ、避難所として大広間を開放。

「温かいおにぎりに、ビュッフェ形式の食事、使い捨てカイロまで
提供してくれた。
翌朝はバスで駅まで送ってもらい、感謝してもし尽くせない」と女性教諭。

復旧した私鉄を乗り継ぎ、12日午前8時過ぎに学校に着いた生徒たちは、
ようやく保護者と対面。
地震発生から約17時間がたっていた。

東京都内の学校は、2007年に都教委が策定した
「学校危機管理マニュアル 震災編」などをもとに、
各校が実情に応じた危機管理計画を作っている。

マニュアルでは、校外活動中の震災時の対応についても、
「揺れが収まったら、直ちに事前に確認した避難所に入る」などと
細かく示されている。

高知大学の大槻知史准教授(コミュニティ防災学)は、
「校外学習でグループワークをする時、活動エリアの避難所を記した
地図を生徒たちに渡しておくべき。
安全な避難ルートを考えさせる作業も取り込めば、防災教育にもつながる

生徒の安否は、教員が近くにいながらいつまでも確認できなかった。
「登山時に使うトランシーバーを、班ごとに持たせる方法もあった」と小川校長。
想定を超えた巨大地震は、校外学習時の対応に、
改めて課題を突きつけた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110318-OYT8T00183.htm

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