2011年6月11日土曜日

緊急連載 学校と震災(6)年11回訓練 冷静に避難

(読売 3月25日)

東日本巨大地震が発生した11日、東京湾に面した埋め立て地にある
横浜市立並木中央小学校では、卒業を祝う会が体育館で開かれていた。

出席していたのは、6年生約80人と保護者約80人。
保護者への感謝をメッセージに込め、
発表している最中に激しい揺れが襲った。

バスケットゴールの下から離れ、体育館の中央に集まるよう教員が指示。
ある程度揺れが収まってから、校庭へ避難。
「あわてていたのは、むしろ保護者。
児童は、冷静に教員の指示に従っていた」と酒井宏校長(58)。

同小は地震、火災、不審者侵入を想定し、
年11回の防災訓練を行っている。
中には抜き打ちの訓練もあり、子どもたちに自分で
避難経路をたどらせたりすることもある。

「『間違った情報に惑わされず、正しい情報を取ることが命を守る』と
口をすっぱくして言ってきた。
訓練の積み重ねが、児童の対応力を高めた」と、胸をなで下ろす酒井校長。
「来年度は津波も想定し、屋上や近くの高台へ避難する訓練も
取り入れなければ」と、気を引き締めた。

東京都内の区立小学校の理科室では、
4年生がアルコールランプで金属球を熱し、体積の変化を調べる
実験に取り組んでいた。
激しい揺れでドアが音を立て、泣き出す児童もいて騒然と。
「先生が大声で叫んでいたが、すぐには何を言っているのか
分からなかった。
『火を消して』と言っているのだと分かり、
アルコールランプを消した」と女子児童。

巨大地震の発生が学期末だったため、
理科の実験や家庭科の調理実習など、
授業で火を使っていた学校は限られていた。
授業の時期や時間帯が違っていたら、
被害はもっと大きかった可能性もある。

消火が先か、避難が先か、学校によって判断は異なる。
消火する場合も、教師が消すか、子どもに任せるかは様々。
大きな地震の場合、ガスの供給が自動停止するため、
ガスバーナーなどの火は消える。
アルコールランプや希塩酸などが机から落ちることも。

名古屋大学の鈴木康弘教授(地域防災学)は、
「極力消火すべきだとは思うが、命がけで止める必要はない。
大切なのは、マニュアルに縛られず、臨機応変に対応することだ」と
指摘した上で、どの教室でも緊急地震速報を
聞けるようにするべきだと主張。

緊急地震速報について、文部科学省は、
「導入する学校が増えているとは聞いているが、
全国的な状況は把握していない。
費用を補助する事業もない」(学校健康教育課)。

大震災の前に、できる備えはまだたくさんある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110325-OYT8T00174.htm

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