2011年6月9日木曜日

緊急連載 学校と震災(4)校内泊に追われた私立

(読売 3月23日)

東日本巨大地震では、首都圏の鉄道網がマヒしたため、
生徒が広域から通う私立中学・高校で、当日帰宅できない生徒が続出。

都内では、共立女子中学高校810人、日本大学鶴ヶ丘高校180人、
巣鴨中学高校160人など、多数の生徒が校内で1泊。

頌栄女子学院中学高校(港区)では、電車が不通で駅から
引き返してきた生徒も含め、全校生の半数を超える800人以上が
家に帰れなくなった。

全員を耐震工事済みの校舎で待機、電車が復旧する気配はない。
横浜市、さいたま市、千葉市など、自宅が遠い生徒もいる。
岡見清明校長(67)は覚悟を決め、教職員約60人と一緒に、
生徒の世話や保護者との連絡を始めた。

夕食には、備蓄してあった携帯非常食の「カロリーメイト」を配った。
田中貞美教頭(64)らは、「何か温かいものを」と、
米やかつお節などを買いに走り、調理室でおにぎり約800個を作った。
翌日の朝食分約1000個を作り上げた時、午前2時に。

家族との連絡用に、校長室にある災害優先電話を開放。
深夜、親が車で迎えに来た生徒もいたが、それでも約500人が配られた
保温シートにくるまって寝た。
翌朝、高校生は保護者に連絡がついた生徒から下校させ、
中学生は親に引き取りに来てもらった。
最後の引き取りが済んだのは、午後1時。

「教職員は良くやってくれた」と岡見校長。
田中教頭は、「校内に残った生徒の対応に追われ、下校した生徒の
安否確認まで手が回らなかった。
保護者への連絡も十分とはいかなかった」と反省。

鴎友学園女子中学高校(世田谷区)には、
部活動で約1000人の生徒がいた。
安全を確認後、徒歩と自転車で約200人が、
親が迎えに来た約100人が夜までに下校。
生徒約720人と、教職員約80人が学校に泊まった。

吉野明教頭(60)によると、保護者への連絡は比較的スムーズ。
阪神大震災の教訓から、ホームページや携帯サイトでの掲示、
メールによる伝言に加え、災害時に不通になりにくい回線を使った
音声による情報サービスを設置。
保護者は、つながりやすい手段で学校からの情報を入手。

東京私立中学高等学校協会長を務める
近藤彰郎・八雲学園中学高校長(64)は、
「携帯が通じなくても、安否が確認できるシステムが必要では」と指摘。

佐藤茂樹・都私学行政課長は、「私立各校は、今回の経験を
災害対策マニュアルに生かしてほしい」

帰宅困難な生徒の安全と保護者への連絡。
通学範囲が広い私立校の課題が明らかに。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110323-OYT8T00230.htm

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