2011年6月5日日曜日

日本の医療には十分な価値 萩野隆二・JTB地域交流ビジネス推進室マネジャー

(2011年5月31日 共同通信社)

日本が、海外に開かれた観光地であることは既に浸透。
次は、持っているコンテンツ(利用できる内容)を知らせていくことが必要。

日本の医療には、技術と高いホスピタリティー(もてなしの能力)があり、
政府と連携しながら健康診断、歯科部門などを
海外にプロモーションする価値は十分ある。

政府が医療ツーリズムを打ち出したことで、JTBは担当部署をつくった。
100カ所以上の自治体と病院から、問い合わせが。
医療の国際化と地域経済の活性化を、事業の軸。
病院が国際競争力を付け、地域が訪日客誘致の動きを推進し、
経済に波及効果を広げるために、私たちが何をお手伝いできるか考えたい。

医療のため、地域に長期滞在する外国人が増えることで、
宿泊施設などにも経済効果が出てくる。
医療ツーリズムが進めば、日本医療のブランドイメージが上がり、
将来は、医療機器の輸出拡大にもつながるのでは。

訪日外国人に対する医療ツーリズムを導入しても、
国内の患者に対する国民皆保険制度は当然、継続すべき。
患者へのサービスを低下させず、無理のない範囲で外国人を受け入れ、
病院が新たな投資や人材の投入を進める好循環を目指す。

少子高齢化が進む中、海外の需要を探る発想自体は悪いことではない。
あとはバランスだ。
他国でもそうだが、(受け入れの)割合を設定するなどの
議論になっていくのではないか。

尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件は、
医療ツーリズムにも影響を及ぼした。
東日本大震災や原発事故で、訪日客数は大きな打撃。
現在は医療も含め、海外からの問い合わせがぽつぽつ来始めた状況。

現時点は、医療ツーリズムの受け入れ態勢をきっちり固めておき、
訪日客が戻った時にPRするのが現実的。
本国で長く待たされる手術が、日本では1週間後に
受けられるとなれば、人は動く。

PRのターゲットとして中国、ロシアは大いにありうるが、
中近東のニーズも調べている。
正確な情報や国際的なメッセージも必要だ。
海外に対して、政府と旅行会社、病院で日本の医療ブランドを
つくり上げていくといいと思う。

◆はぎの・りゅうじ

66年神奈川県茅ケ崎市生まれ。
旅行マーケティング戦略部営業戦略担当マネジャーを経て、
07年2月から現職。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/31/137277/

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