2011年6月8日水曜日

緊急連載 学校と震災(3)「帰宅難民」に校舎開放

(読売 3月19日)

東日本巨大地震で、交通機関が全面的にストップする事態を受け、
都内の多くの学校が、「帰宅難民」に門を開いた。

青山学院大学は、地震発生直後から、区の避難場所に指定される

青山キャンパスで、学外者の受け入れを始めた。
同大は、都や区でつくる「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」のメンバー。
最大8000人が滞在し、4000人程度が一晩を過ごした。

体調不良者には、学校の看護師や避難してきた医師らが対応。
妊婦などには和室を開放。
防寒シート、水、非常食などの物資は足りたが、
「春休み中で、学生が少なかったためで、
授業期間中なら一晩で非常食や水は底をついた」と同大は推測。

都立第一商業高校(同区)は、当日午前が卒業式だったため、
生徒600人のうち残っていたのは100人。
そこに400人が避難して来た。
同校も同協議会メンバー。

同校を含め、島しょを除く全都立学校は、都の「帰宅支援ステーション」に指定。
生徒用に、毛布や非常食はある。
位置づけは、水や情報を提供する休憩所であるため、
一般用の毛布や非常食は準備されていない。

今回、各校は生徒分を取り崩して対応したが、平常授業の日や、
もっと避難者が多かった場合、十分な対応は厳しかった。
同校から、「避難者は、温かい毛布や食事を期待して来る。
備蓄物資の再考も必要では」

JR各線がストップし、新宿駅に近い都立新宿高校には、
他校より突出して多い、2500人以上が殺到。
教職員は、校内にいた生徒520人の安全確保と並行し、
避難者の誘導に追われた。
夜間、近隣校から毛布の補充があったが、全員には行き渡らなかった。
深夜に、悪寒を訴える避難者が出て、救急車を呼んだ。

事態を受け、都は計画停電で新宿駅に滞留者が生じた際、
駅頭に職員を出し、ほかの都立高校などにも誘導することを決めた。
「(帰宅難民は)ある程度は予測していたが、それ以上の殺到となった」

新宿区も、自主的に区立の小中学校を帰宅難民に開放し、
住民も含め、1100人以上が夜を明かした。
各校は、区の避難所に指定され、毛布や非常食を備蓄。
それでも不足が生じた学校があり、区が応援物資を届けた。
区によると、小中学校での帰宅難民の受け入れについては、
「ありうると考えていた」(区長室危機管理課)。

400人を受け入れた都立芝商業高校(港区)の林努副校長は、
「教職員が少ない時間帯や休日の発生だったら、対応できただろうか」と自問。
臨機応変な対応で大混乱は回避されたが、
備えが足りない部分も少なからず明らかに。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110319-OYT8T00205.htm

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