2009年1月26日月曜日

現場再訪(8)児童獲得 一定の効果

(読売 1月17日)

学校選択制で新入生ゼロを経験した学校は、どう変わったのか。

緑豊かな山々に囲まれた大分県豊後高田市立臼野小学校
昨年12月中旬、5、6年生25人が月1回のクラブ活動に取り組んでいた。
その輪の中に、地域サポーターと呼ばれる住民の姿が見える。
「創作活動」、「ダンス」、「野外活動」の3班に各1~2人ずつ、
忙しそうに動き回っている。

「創作活動」の班でビーズ作りを教えていた主婦瀬口亜紀さん(35)は、
「子供のために力になりたいと思って」と、趣味のビーズ作りで協力を申し出た。
作品を見せに来る児童に、「いまいちかな」、「上手上手」と声をかける。

野外活動担当の遠山小次郎さん(69)は、
「卒業生が道端で、『遠山のおじちゃん』と声をかけてくれるのがうれしくて」
と笑顔を見せる。

サポーターは30~70代の20人で、ほぼ全員が卒業生とあって、
「『自分の学校』という意識で支援してくれる。ありがたい」と大嶽由美子校長(59)。
図工や家庭科の授業にも参加する。

同小は、旧真玉町が2005年に豊後高田市と合併したことで、
学校選択制の波にのみ込まれた。
初年度の入学者はゼロ。
校区内にいた5人の対象者全員が、規模が大きい隣の市立真玉小を選んだ。
サポーター制は翌06年度から導入。

同年度以降は対象者6人中2人、5人中4人、7人中4人が臼野小に入学。
「迷う親に、地域サポーターが声かけをしている。
その一定の効果はあったのだろう」と大嶽校長は振り返る。

それでも、現児童数は35人。
もう少し大きい学校で学ばせたい、という保護者の希望は強い。
このため、規模の大きい学校に児童が出向く共同学習の時間を設け、
テレビ電話での他校との交流も企画する。

国立中や私立中が多い東京都文京区。
地元の区立小学校から区立中に進むのは、半数という土地柄。
区立第七中学校の生徒数33人は、島嶼部を除く都内で生徒が最少
学校選択制の導入2年目の04年度には、新入生がゼロに。

当時、保護者による学校支援組織ができて、
学校紹介のミニコミ紙を作る活動もした。
だが、今春には生徒数111人の区立第五中学校と統合されて
音羽中学校になる。
七中の鶴見保憲校長(58)は、「学校がなくなるというより、
リニューアル(刷新)だから」と前向き。

新校では、数学、理科、英語での習熟度別の少人数授業の実施や、
お茶の水女子大学と連携した授業など、特色ある教育活動が計画。
生徒会は、ひと足早く合同で発足し、音羽中をPRするニュースの発行や、
近隣小学校への訪問活動も展開。

こうした活動も功を奏し、入学希望者は、予想の2倍を超える約230人。
最終的に何人が音羽中を選ぶかはわからないが、
「地域やPTAと協力して特色を出していくしかない」。
鶴見校長はそう強調した。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090117-OYT8T00233.htm

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