(毎日 1月19日)
サッポロビールは、製品の生産から消費までの二酸化炭素(CO2)排出量を
「カーボンフットプリント」として缶に表示した定番商品
「サッポロ生ビール黒ラベル」を、2月から北海道で試験販売。
ビール業界では世界初となる見込み。
担当の市川淳一常務に環境問題への取り組みを聞いた。
-地球温暖化問題への対応はいつから?
◆94年に「環境行動指針」を定め、CO2排出量を2010年までに
90年比で12%減らす目標。
03年にはそれを達成し、更に04年には「06年までに25%削減」という
新目標を設定し、クリアした。
現在の目標は、05年に掲げた「10年までに総量で50%、
原単位(単位生産量あたりのCO2排出量)で40%削減」。
総量は既に達成したが、原単位で40%減らすのは相当高いハードル。
-どうやって減らしてきたか。
◆工場が中心。
コージェネレーション(発電で出る熱を有効利用する)システムの導入、
廃水を微生物で分解してメタンガスを発生させ、燃料として使うといった
取り組みで、エネルギー効率を高めてきた。
容器の製造段階で出るCO2排出が多いので、
従来より小さくて軽いアルミ缶への切り替えを進めている。
物流面では、昨年から北海道でキリンビールと共同配送を始めている。
-業界唯一の「協働契約栽培」も環境と関係が。
◆麦やホップを生産する国内外の農家約2100戸と契約し、
16人の社員が出向いて栽培方法などを取り決め。
あくまでも安全性と品質のためだが、農薬使用の削減など、
環境に優しい農法につながる面も。
カーボンフットプリントの前提となる「ライフサイクルアセスメント」
(原料生産から製品の消費・廃棄までの一貫したCO2排出量算出)が
可能なのも、100%の協働契約栽培を行っているから。
-フットプリントの本格導入は?
◆時期は未定だが、試験販売を通じてお客様の反応や
購買行動への影響を調べ、本番に備える。
カーボンフットプリントは国全体の流れですが、消費者の認知度はまだ高くない。
取り組みを通じて関心を高め、環境問題に貢献する姿勢をアピールしたい。
-ビール事業以外では?
◆タイで製糖工場から出るサトウキビの搾りカスなどから
バイオエタノールを作る共同事業に参加。
静岡市では、おからやジャガイモの廃棄物からエタノールを
生産する事業を昨年から始めた。
未来のエネルギー源として期待される水素を、パン工場の廃棄物から
作り出す技術も、広島大学と共同研究。
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◇いちかわ・じゅんいち
早大政経卒、70年サッポロビール入社。
経営本部長などを経て07年3月から現職。
経済産業相が認定する消費生活アドバイザーの資格も持つ。61歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/19/20090119ddm008020030000c.html
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