2009年1月30日金曜日

国際オリンピック委員会(IOC)~スポーツ関連宣言文Vol.2 『スポーツ・フォー・オール ― フォー・ライフ最終宣言』

(09.01.28 SSF)

世界スポーツ・フォー・オールコングレスは、開催国オリンピック委員会主催、
IOC、IOCスポーツ・フォー・オール委員会の後援により開催。
1986年より2年に1度開催、各国スポーツ・フォー・オール関係者が
集まる最大の会議。
笹川スポーツ財団は、1998年の第7回バルセロナ大会より毎回出席。

日本からは、ポスター発表が2題。
1題は、佐賀大学文化教育学部の木村靖夫教授による
「運動習慣が女性高齢者の骨と精神状態へ与える影響」。
もう1題は、笹川スポーツ財団「日本における青少年のスポーツ参加状況」

2010年ユースオリンピックの広報活動、
2016オリンピック・パラリンピック招致活動も行なわれていた。
東京オリンピック・パラリンピック招致委員会が出席、PR活動を行っていた。

【テーマ】スポーツ・フォー・オール―フォー・ライフ
【サブテーマ】
1. 青少年のための身体活動
2. IT界におけるスポーツ・フォー・オールの役割
3. 高齢化社会とスポーツ・フォー・オール
4. スポーツ・フォー・オールと社会主義
5. オリンピックとスポーツムーブメントに対するスポーツ・フォー・オールの主導権
【開催期間】2008年11月3日~7日
【参加者数】95カ国から505名、各国オリンピック委員会(NOC)、
教育・文化機関、政府・非政府組織等
【日本からの参加者数】18名、JOC、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会、
日本オリンピック・アカデミー(JOA)、笹川スポーツ財団他
【内容】全体会議、分科会、一般発表、ポスター発表
一般発表件数:61件「健康促進のためのスポーツプログラム」、
「発展途上国におけるスポーツ・フォー・オールの供給」、
「都会と田舎における、性別による小学生の身体能力の差」等
ポスター発表件数:33件
「イタリアにおけるスポーツ・フォー・オールの現状」、
「駅伝による社会的融合の振興」、
「SUDOKU:精神的スポーツ・フォー・オール―フォー・ライフ」等

本コングレスは、世界保健機構(WHO)が協力、
身体活動が与える健康面への影響に関する発表が目立った。
特に肥満との関係を重要視。

◆第12回世界スポーツ・フォー・オールコングレス
「スポーツ・フォー・オール ―― フォー・ライフ」最終宣言

本会議は、各国政府、公共団体に対し、以下のことを求めた。

1)運動・スポーツの重要性を健康政策の主要な要素として重視
2)政策立案の際、運動・スポーツへの参加促進が公衆衛生、社会経済に
与える利益を考慮。
3)コミュニティスポーツおよび運動の重要性を認識。
4)スポーツ・フォー・オールを、経費負担や労力的負荷ではなく、投資と考える。

1. 運動・スポーツの促進には以下のような利点がある。
1)健康の増進(精神的および肉体的)
2)地域社会における社会文化的統合、公平、調和、団結。
特に民族グループ、障害のある人々、移民の融合の促進
3)社会交流、社会的一体性、社会参加能力の強化、
運動・スポーツの精神と価値観がもたらす恩恵
4)運動・スポーツの教育的役割
5)政府、地域社会が負担する健康・福祉費用の減少

2. 「食と運動と健康に関するWHO世界戦略」、2008年アクションプラン、
非伝染性疾患の予防と管理に関する提言の実施を全面的に支持。

3. 本会議は以下について確認。
1)運動不足は世界的に非伝染性疾患(NCD)―心臓血管疾患、糖尿病、
肥満、一部のガン―の独立危険因子となり、毎年200万人近くの死亡原因。
NCDによる死亡は、毎年全世界の死亡のおよそ6割を占め、
3,500万人の死亡者のうち66%は途上国の国民。
運動不足の傾向が最も強いのは、都市部の貧困地域。
2)子供の肥満は深刻化。
5歳未満の約2,200万人、学齢期(5~17歳)の1億5,500万人(10人に1人)は
過体重で、およそ3,000万~4,500万人が肥満。
3)貧困など、社会経済的事情が肥満の重要な要因。
4)食習慣や都市化のほか、自然環境、テクノロジーの利用、交通、職場環境の
変化など様々な生活要因が、座りがちな生活スタイルの増加や運動量の低下に。

4. 国内オリンピック委員会、国際競技連盟、その他のスポーツ団体が、
各国の保健、教育、スポーツを管轄する政府機関とともに、
運動・スポーツ・教育プログラムの策定、普及、調整を図り、
その重要性とメリットを考慮するよう強く推奨。

1)スポーツを通じた教育―文化と環境―に対するIOCの重視。
スポーツ・フォー・オールの価値観を広め、オリンピックやユースオリンピックを
通じて、青少年を運動・スポーツに引き寄せる上で独自の基盤を提供。
2)すべての年齢層、運動能力に対応した、開放的、低コストで、
利用しやすい地域密着型のプログラム
運動・スポーツ施設(空き地を含む)、適切な近隣環境条件
3)課外プログラムなど、学校や青少年を対象にしたプログラム。
質の高い時間、包括的なカリキュラム、楽しさの要素を多く取り込んだ
「保健体育」プログラム。
勉強と運動のバランスを重視し、十分に保つことができる教育システム
4)コミュニティクラブ、スポーツクラブ、その他地域組織の全体の参加
5)障害のある人々に固有のニーズへの対応
6)情報技術など最新の技術を利用し、スポーツの価値や利点に関して、
地域社会、特に青少年を教育、啓発、支援。
あらゆる層からの参画を促進、奨励。
運動・スポーツ指導者・専門家を対象にした訓練・指導・組織化
その他の支援に最新の技術を導入。
7)スタート基準を低く設定した、軽度で適度な運動・スポーツプログラムの
普及や確立。
青少年のスポーツへの関心を引き寄せ、維持するための、
必要に応じたスポーツプログラムの普及
8)運動・スポーツプログラムの優良モデル、ケーススタディの普及・導入に
向けた団体間での最大限の知識移転
9)優秀なアスリートの力を借り、地域社会での運動・スポーツに
刺激、励ましを与え、模範を示すこと

5. 第12回世界スポーツ・フォー・オールコングレスでの推奨、
「生き生きとした社会(Moving towards an active society)」に焦点をあてた
取り組みや研究について、2009年IOCコングレス委員会が検討するよう提案。

6. 地域社会でのスポーツ・体育プログラム、フォローアップ活動
(特に優良モデルとケーススタディの導入と調整)の進捗報告を、
フィンランドのユヴァスキュラで2010年6月14日~17日に開催、
次回の世界スポーツ・フォー・オールコングレスに盛り込むよう提言。

http://www.sfen.jp/column/ioc/02.html

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