2009年1月29日木曜日

国際オリンピック委員会(IOC)~スポーツ関連宣言文Vol.1 『釜山宣言』

(08.12.25 sfen)

第6回IOCフォーラムが、第4回釜山TAFISA World Sport For All Gamesの
日程に合わせ、韓国の釜山市内コンベンションセンター(BEXCO)で開催。

TAFISAとは、1991年に設立した世界的なスポーツ・フォー・オールの
推進を目的として活動する組織。
国際トリム・フィットネス生涯スポーツ協議会(TAFISA=タフィサ)。

【テーマ】現世代のためのスポーツと教育
【開催期間】2008年9月25日~27日
【参加者数】約600名、各国オリンピック委員会(NOC)、
各競技の国際スポーツ連盟(IF)、オリンピック実行委員会、教育・文化機関、
政府・非政府組織等
【日本からの参加者数】日本オリンピック委員会(JOC)、
東京オリンピック・パラリンピック招致委員会、
日本オリンピック・アカデミー(JOA)、笹川スポーツ財団他
【内容】全体会議、分科会、パネルディスカッション、一般発表。
一般発表件数:52件 「オリンピズムの継承」、
「アフリカ等でのオリンピック教育実践紹介」、「2010年ユースオリンピック」、
「オリンピック招致国の取り組み」等

『釜山宣言』がなされ、“釜山アクション”が採択。
“釜山アクション”の実施には、全関係者の支援と積極的な参加が必須。
IOCが、今後のスポーツ振興に対して、どの様なスタンスなのかを
把握するには一番の資料。

韓国の釜山市で国際会議等が行われたことについて、
2020年のオリンピック招致を見据えている。
一方で、セキュリティー問題やアクセスの問題等、
オリンピック招致に向けての問題点も浮き彫りに。

◆釜山アクションプラン

青少年をスポーツの未来と位置づけ、あらゆる機会・手段を活用して
スポーツ、文化、オリンピック教育の融合を進める必要がある。
この目的のため、以下の7つの機会が確認。

1. 青少年
世界各地から集った若者らによるセッションが行われ、
教育・スポーツ面での彼らのニーズ、勉学かスポーツかの葛藤、
勉学とスポーツの両立、いずれかの選択のため、
時に厳しい決断を迫られる状況について語られた。

a. 国際オリンピック委員会(IOC)、オリンピック・ムーブメント、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が協力し、体育を通常のカリキュラムの
一部として義務付けるよう、政府に働きかけることを決議。
b. 青少年に関わる分野、活動に関する意思決定に青少年自身を参加させる、
という考え方を会議にも拡大することを決議。
c. 青少年がさらに発言力を得、自らの考えや体験談を語ることができるよう、
IOCに対し、青少年を継続して招待するよう求める。

d. 優れた青少年を模範として見いだし、活躍する機会を高めるよう求める。
e. スポーツへの関心が薄れているのは、「現代の若者文化」のためと、
批判することに警告。真の原因は、スポーツをする機会の減少。
運動場、予算、コーチの不足、地域社会・学校・クラブのプログラムの減少が
世界の多くの都市で危機的状況に。

2. ユースオリンピック
IOC、オリンピック・ムーブメントが組織的な形で世界の青少年の生活に
直接影響を与えることができる絶好の機会。
ユースオリンピックの教育・文化プログラムの発展に、ユネスコなどが参画。

a. IOC会長、オリンピック・ムーブメントがユースオリンピック創設を歓迎。
b. プログラムの内容が、オリンピックの価値観を表し、
参加者にとっては教育上の経験となるよう留意。
c. ユースオリンピックのプログラムに、スポーツ、異文化、価値に関する教育が
スポーツ競技と同等の重要性を与えられる。

d. IOC、国際競技連盟他すべての関係者に対し、プログラムによる恩恵が
大会に直接参加した者だけにとどまらない。
e. ユースオリンピックの教育プログラムの内容を、大会間で継続させる。
f. ユースオリンピックが活気ある華やかな雰囲気の維持に努め、
他のスポーツ団体もこれに追随するよう奨励する。

3. 普遍性(ユニバーサリティ)
「普遍性(ユニバーサリティ)」の意味を、広義に解釈することの必要性を認識し、
先進国・途上国間の格差は、男女格差による問題と同程度に
オリンピック教育の共有にとって障害となる。

a. スポーツに関わる教育・異文化機会が、文化的アイデンティティと多様性、
真のジェンダー平等、障害のある人々への機会提供を尊重。
b. IOC、パートナー団体に対し、オリンピック教育が途上国の青少年の
唯一の教育機会であり、プログラムから最大限の恩恵を得られるよう、
各国のオリンピック委員会や当局と緊密な協力関係を築く。

4. 競技引退後の生活
競技生活引退後も、充実した生活が保障されるために、
スポーツ界全体で対策を取るよう求めた元競技者からの訴えを聞き、
多くの競技者が競技生活を終えた後に厳しい状況に直面。

a. IOC、IOCアスリート委員会が職業訓練や資格取得を目的とした
特別プログラムを創設。
b. 国内オリンピック委員会、国内競技連盟、国際競技連盟に対し、
学位取得を目指す競技者のための新たな支援プログラムの設置を検討。
c. このような機会が、参加国すべてに広く告知。

5. オリンピック組織委員会、国内オリンピック委員会の教育・文化プログラム
オリンピック組織委員会で、大規模な教育プログラム(北京大会で若者4億人が参加)
を企画、この分野に対する投資が国内オリンピック委員会間で格差がある。
すべてのオリンピック開催都市で「文化オリンピック」も開催されるが、
宣伝や資金の不足が多いことから注目されない。

a. プログラムがすべての国、独自に企画する力を持ち合わせていない国に普及
b. プログラムが、特定の大会に関連するイベントにならず、
継続的なプロセスになるよう強く提案。

c. 「文化オリンピック」の認知度を高め、多くの宣伝を行い、
大会参加者に出席を促す。
d. 教育プログラム、文化オリンピックがともにレガシー(財産)、
知識移転システムの一部となるよう提案。

6. パートナーシップ
オリンピック・ムーブメントは、特にスポーツを介した社会の発展、
青少年および地域社会教育、平和の実現を目指す上で、
志を同じくする団体と協力することを常に誇りとしてきた。
IOC会長による非スポーツ団体の招聘、
スポーツ・ムーブメントとユネスコとの連携は、
「スポーツにおけるアンチ・ドーピングに関する国際条約」を世界各国が批准。

a. スポーツを介した発展、若者の動員、教育の実現に国連、政府が協力
b. 世界アンチ・ドーピング機関、提携機関が、労働安全衛生の他の分野で
すでに実施されている周知活動を精査、教育と防止活動を拡大。

7. オリンピック・コングレス
2009年コペンハーゲンで開催されるオリンピック・コングレスは、
スポーツ界全体にとって、今後のスポーツ・異文化教育の方向性に影響。

a. 教育者、研究者、青少年、一般市民に対し、この機会を利用して
コングレスに議題を提案。
b. IOCが、開設しているバーチャル・オリンピック・コングレスに参加。
c. 若者たちが青少年とオリンピズムに関する討議に参加できるよう、
IOCに対し、コングレスに若者も招く。

大韓民国・釜山2008年9月27日

http://www.sfen.jp/column/ioc/01.html

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