2009年9月27日日曜日

成功するシンポジウムとは

(サイエンスポータル 2009年9月24日)

お彼岸シンポジウムとも呼ばれている
自然科学研究機構主催のシンポジウムが開かれた。
今回のテーマは、「脳が諸学を生み、諸学が脳を総合する」

いつものように、独創的な研究を展開する研究者を
ずらりと講師陣に並べていた。
このシンポジウムは、今回が8回目。
リピーターが非常に多いと主催者が自慢するだけのことはあり、
毎回、いすを追加するほどの盛況ぶり。
今回は会場が変わったせいか、珍しく空席もいくらかあったが、
内容はこれまで以上に充実していたように見える。

ジャーナリトの立花隆氏が、シンポジウムの企画、進行に
大きな役割を果たしているのが、このシンポジウムの特徴。
それが、大勢の聴衆を集める最大の理由だろう。
あらためて成功するシンポジウムとは、ということを考えてみた。

シンポジウムというのは、主催する方も大変だが、
一日中、集中して聴いている方も相当なエネルギーを要求。
講演者やパネリストに、わずかでも平板、難解な話しぶりの人や
当たり障りがないことしか言わない人が含まれていたりすると、
そこで聴衆の集中力は途切れてしまう。
中には、2度とこのシンポジウムには来ない、という聴衆も。
悪貨は、良貨を駆逐するという面が、シンポジウムにもありそう。

自然科学研究機構は、旧国立大学共同利用研究所が
集まってできた集合体。
今回のように脳、宇宙、生命といった根源的テーマで、
これぞという講師を集めやすいことも人気の理由。
講師、パネリストに名のある研究者をそろえるという点では、
日本学術会議主催のシンポジウムも引けを取らない。

せっかくの議論が、中途半端に終わるものが時々ある。
幅広い意見を、と学界だけでなく多方面から講師や
パネリストを集めたシンポジウムに、そうしたものが見られる。
卓越した研究者が、自らの研究成果やその分野の全体状況を
洗いざらいかつ上手に話す。
このような講演に、多分、聴衆は満足するし、
往々にして感動もするだろう。
どちらかというと手の内をさらけ出したがらない人や、
そういう人が多い職種、業界というのもあるのも現実。

自分は脇役に徹し、主役は独創的でかつ話がうまい研究者に限る。
立花氏が切り盛りする自然科学研究機構シンポジウムが、
毎回、多くの聴衆を満足させる秘訣は、
その辺りにあるような気がする。

http://scienceportal.jp/news/review/0909/0909241.html

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