2009年10月1日木曜日

農業に学ぶ(2)「そば娘」たちの甲子園

(読売 9月23日)

高校生が、農業の大会で汗と涙を流している。

「農業高校生の甲子園」と呼ばれる大会がある。
農業を学ぶ高校生が、活動の成果を発表したり、
知識や技術を競ったりする「日本学校農業クラブ全国大会」
60回目を迎える今年は、10月に茨城県で開かれ、
341校、生徒2021人が出場。

8月、9都県の代表が全国出場をかけて争った関東ブロック大会。
食料・生産のプロジェクト発表では、高校生たちが
写真や図表のスライドを映しながら、「野菜で街を元気に」、
「農業における糸状菌の有効利用」など、
地域づくりの活動や農業技術の研究成果を披露。

「常陸秋そば」という県産品種のそばのPR活動について
発表したのは、茨城県立水戸農業高校。
女子メンバー5人を中心に、栽培収穫から製粉まで行い、
「そば娘」と名付けて商標登録、
そば打ち講習会を開くまでを熱く語った。
その名も、「そばにかけた青春 5人のそば娘
~常陸秋そば拡大プロジェクト」。

3年の大貫若子さん(18)は発表後、
「常陸秋そばを打って食べた時、感動するぐらいおいしくて、
地元の宝を広めたいと思った」と、活動の原点を話した。
校内発表した時は、先生たちから「ダメ出しの嵐」。
発表準備がうまくいかず、「イライラし、けんかばかりだった」

県大会直後の6月下旬、顧問が急死したことが転機。
みんなが思いを一つにし、朝から晩まで毎日、
発表の練習に明け暮れた。
全国大会出場は逃したが、「ほかではできない経験ができた」

全国農業協同組合中央会(JA全中、東京)も、
「全国高校生対抗ごはんDE笑顔プロジェクト選手権」と題した
大会で、農や食に興味を持つ高校生の盛り上げに一役買っている。

3人以上の高校生グループが、
〈1〉野菜や果物、畜産物などを育て、
〈2〉それを生かした料理や加工品を考案、
〈3〉地元の人に食べてもらう機会をつくる――という3段階の競技。

各グループが、活動状況を同選手権のホームページで発表、
他のグループと競いながら進めるのが特徴。
JA全中は、「若さとアイデアで地域を元気にするプロジェクトを期待」

今年は、108校200グループが参加。
在来種のニンニクを栽培してしょうゆを作ったり、育てた大豆を
郷土料理に使ったりするなど、様々な活動に取り組んだ。
11月の決勝大会出場をかけた地区予選が各地で開かれている。

農業高校に詳しい明治大学の井上猛・教職課程兼任講師(68)は、
「全国を目指し、より高い目標が持てることが、
農業に情熱を燃やす高校生の励みに。
地域貢献活動などに取り組むきっかけにもなる」

「農」をテーマに競い合う大舞台が、
若者の農業への意欲を支えている。

◆日本学校農業クラブ全国大会

1950年に発足、農業高校や農業系学科の生徒約9万人が入る
同クラブ連盟が毎年開催。
食料・生産、環境、文化・生活の3部門で研究を発表する
「プロジェクト発表会」や思いを語る「意見発表会」のほか、
知識や技術を競い合う「平板測量」、「農業鑑定」、
「農業情報処理」の各競技会などがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090923-OYT8T00220.htm

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