2009年9月28日月曜日

社会人基礎力(7)入社前から育成スタート

(読売 9月18日)

企業も新入社員の採用・教育に、社会人基礎力を採り入れ始めた。

スーツ姿の緊張した学生34人が会議室に集まる。
富士通の川崎工場で行われた「ATTチャレンジ」
採用内定から入社2年目まで、約3年かけて社会人基礎力を養う、
同社の育成プログラムの初日。

「残りの学生生活を充実させるため、あなたが実現したい
目標を考えましょう」
講師の説明に、学生は「国際学会で発表」、
「世界一周旅行」などと用紙に書き込んだ。

「それを実現するために欠かせない基礎力は?」との質問に、
内定者は悩んだ。
主体性か計画力か、他人に働きかける力か?
身近なテーマで自分の能力を見つめ直させるのが狙い。

「ATTチャレンジ」は、実は学生が採用選考に応募する
時点から始まる。
応募者は、3能力12要素の基礎力について、
5段階の自己評価を提出。
同社の林田淳吾・人材採用センター担当課長(41)は、
「自己評価だけで選考から落ちることはないが、
自己PRと矛盾すれば、面接で追及している」

このプログラムの最大の特徴は、内定後は自己評価を
9段階に拡大し、内定期間に3回、入社後の2か月間に2回、
その後も2年目終了までに4回と、計9回も繰り返すこと。
目標を立てて行動を振り返る「PDCAサイクル」を
習慣づける意味もあるが、同社は
「評価が5から7に上がることより、『なぜ上がったのか』、
『何がまだ足りないのか』を考えることが重要」(林田課長)。

同社は、経済産業省が2005年度、基礎力12要素を公表、
「基礎力は、大学と企業の共通言語」と認識。
08年度から「ATTチャレンジ」を始めた。
内定者の早稲田大4年、今西良磨さん(21)は、
「自分は、計画力や傾聴力が弱いと気付いた。
普段は意識していないが、今回参加して見えてきた」

資生堂も08年度から、基礎力を採り入れた3週間の新人研修
「STARTプログラム」を始めた。

同社が目指すのは、「美意識」、「自立性」、「変革力」を
備えた社員の育成。
同社人事部は、「若手社員は自ら考えて行動し、
目標までやり通す面が弱い」(深沢晶久・人材開発室長)と、
基礎力の育成に乗り出した。

新入社員は、「得意先の社長」を演じる管理職社員に対し、
同社の理念や仕事への思いをプレゼンテーションするなど、
「自分の言葉で語る力」を鍛える。
同社が独自に設定した27項目の能力要素が伸びているのかどうか、
日々振り返るための時間も設けている。

深沢室長は、「最近の若者はすぐ答えを求めたがるが、
明確な正解がない中で考えていくのが仕事。
それを学んでもらうのも、プログラムの狙いの一つ」

社会人こそ、基礎力の自己評価を続けていく必要がある。

◆ATT

経済産業省が定義する社会人基礎力の3大能力である
「前に踏み出す力(action)」、「考え抜く力(thinking)」、
「チームで働く力(teamwork)」の英語の頭文字を取った略称。
社会人基礎力の英略語として用いられる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090918-OYT8T00195.htm

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