2009年10月2日金曜日

再編前夜、学習塾に価格破壊の足音

(日経 2009-09-26)

家計消費支出の中で、教育費は景況や収入の多少の変動に
左右されない項目とされてきた。

子供1人当たりの支出額は拡大傾向で、塾・予備校などの
教育産業の成長を支えてきた。
「特定サービス産業動態統計調査」によると、
「学習塾」の2008年の売上高は、05年比で12.2%伸びた。
「外国語会話教室」は4割も減少。

英会話教室が、家計の余剰を原資にした趣味の支出であるのに対し、
教育費は必要経費として家計の中で聖域視。

昨年9月、「リーマン・ショック」以降、節約の波が
教育費にも押し寄せてきた。
夏期講習の生徒確保に成功したというリソー教育など
一部を除いて、夏のかき入れ時に生徒数を減らした
学習塾・予備校が目立つ。
夏期講習の出費をおしんだ家庭が少なくなかったことの証左。

売り上げの伸びが見込めない09年度は各社とも、
経営効率という基礎体力が問われる。
業界内では、効率の高いグループと低いグループに2極化が起き、
その格差は拡大する傾向に。

売上高が100億円以上の上場企業は、約10社。
08年度、売上高経常利益率を2ケタに乗せたのは、
フランチャイズチェーン(FC)展開で効率を確保する
明光ネットワークジャパンとリソー教育。
4社が2%以下に。

FC方式か営業形態が個別指導中心の学習塾は、
経営効率が高く、集団指導は低い、という明暗がはっきり。
大学全入時代に突入し、難関校受験といった
小さなパイを奪い合う高校生向けの比率が高い企業が苦戦。

学習塾業界は、ベネッセコーポレーションや学習研究社が
参入した06年を境に、再編ラッシュに突入。

07年、ベネッセによる東京個別指導学院の買収など、
系列化の動きが噴出。
09年、M&A(合併・買収)の意欲を隠さないナガセを除くと、
動きが一服している。

次の再編ステージに突入するのは間違いないが、その前段に、
学習塾にも「価格破壊」が波及するとみる業界関係者は少なくない。

「価格競争を仕掛けられるのがこわい」
大手学習塾の営業担当役員は漏らす。

念頭にあるのは、ベネッセ。
今夏にも、夏期講習に比べて“値ごろ感”がある「進研ゼミ」が健闘。
「高い合格実績と高い利益率」のセットが通用しづらくなる
可能性が膨らんでいる。

実績とブランド力さえあれば、薄利多売の通信教育と拠点型で、
利益率が高い個別指導を組み合わせて自由な価格政策が採れる——。
こうした不安が忍び寄る。

信用力の影響度が大きい業種だけに、
集団指導にせよ個別指導にせよ、拠点型で低価格モデルを
確立するのは容易ではない。
期間限定の講習を対象に、価格政策で先手を打つ動きが
出るかもしれない。

消耗戦を仕掛けるか、巻き込まれないよう策を打つか、
各社は正念場を迎える。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo090925.html

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