(2009年10月11日 毎日新聞社)
馬と触れ合うことで、心身のリハビリをする「ホースセラピー」が、
南アルプス市塩前の市フレンドリーセンターで体験できる。
正式には、ホース・アシステッド・セラピー(馬の助けによる療法)。
欧州では、医学療法として市民権を得ているが、
国内での認知度はまだ低い。
同センターは01年、旧白根町と同町社会福祉協議会が設立。
乗馬ではなく、ホースセラピーのために運営。
年間約2000人が訪れ、4分の1は心身に障害を持った人。
ホースセラピーでは、乗馬によって複雑な馬の背の揺れが
日常使わない筋肉を刺激するため、
身体的なリハビリ効果があり、バランス感覚も養える。
馬と触れ合うことで、不安や緊張が緩和されるなど、
心のケアにも効果がある。
施設責任者の福田資久さん(37)は、ミュージシャンとして活動、
北杜市白州町で両親が乗馬クラブを経営していたことが縁で、
08年から馬の飼育管理を担当。
福田さんによると、引きこもりの子供たちが馬と触れ合うと、
同伴の家族は一様に、「普段見たことのない笑顔を見られた」と驚く。
厚生労働省の研究班が04~06年度の間にまとめた、
不登校や引きこもりの子供や若者に対するホースセラピー効果の
研究結果によると、セラピーを受けた14人の大半が
気分の落ち込みや不安・緊張の緩和を感じ、
自尊心も高まる傾向。
07年、国内初のホースセラピー専用牧場を大阪府枚方市に
開設したNPO「ホース・フレンズ」の芦内裕実理事長によると、
ドイツとスイスでは、ホースセラピーに健康保険の適用が
認められている。
ホースセラピーが、犬など他のアニマルセラピーと最も違うのは、
その大きさ。
福田さんの愛馬ジョー(20歳・雄)の背にまたがってみた。
視点は一気に高くなって視野が広がり、爽快だ。
馬が1周120メートルの馬場をゆっくりとかっ歩し始めると、
複雑な揺れが体を伝わる。
力を抜くと自然と姿勢が正され、バランス感覚を養える
という理由がよく分かった。
手綱を少し引くとゆっくりと立ち止まり、
腹部を軽くけると歩き始める。
体重500キロもある動物が、言うことを聞くことだけうれしくなる。
福田さんは、「ホースセラピーの認知度がもっと高まり、
本格的なリハビリとしての利用者が増えれば」と期待。
同センターの乗馬料金は中学生以下600円、一般1200円、
中学生以下の障害児300円、障害者600円。
問い合わせは、同センター(電話055・285・8181)。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/13/109015/
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