(2009年10月16日 Medscape)
メタボリックシンドロームの定義は、各団体によって異なり、
明確な臨床診断基準を定める新たな共同声明が発表。
メタボリックシンドロームの定義が厳格化される。
10月5日『Circulation』オンラインに発表されたこの声明は、
メタボリックシンドローム患者の判定方法に関する混乱を
解消しようという試みで、国際糖尿病連合(IDF)、
米国心肺血液研究所、世界心臓連合、
国際アテローム性動脈硬化学会、米国心臓協会が参加。
「この論文は、定義をグローバル化するための試み」と、
Dr Robert Eckel(コロラド大学)。
「IDFと、米国コレステロール教育プログラム成人治療パネル
ATP IIIの定義は、最もよく使用されている二大定義。
混乱を引き続き防ぐという点で、一歩前進した」
新しいメタボリックシンドロームの定義は、
ウエスト周囲径の測定値により決められていた腹部肥満に関する
これまでの違いを一本化。
以前は、ウエスト周囲径の基準値で8 cmも差があった。
ウエスト周囲径増大の基準値は、集団および国ごとに決める。
基準は統一されたが、やるべき課題が残っている。
「問題は、ウエスト周囲径が何cmなら、
心臓病や糖尿病のリスクになるか、各国で大きな地域差が。
ウエスト周囲径とリスクの関連付けに、
地理的に異なる地域、各国のデータベース分析に頼っている」
今回の定義では、ウエスト周囲径は医師が
メタボリックシンドローム診断に参照する5項目の単なる1項目。
ウエスト周囲径の増加、中性脂肪の上昇、
HDLコレステロール値の低下、高血圧、
空腹時血糖値の上昇から成る5つの基準のうち、
3つに該当する患者はメタボリックシンドローム。
◆メタボリックシンドロームの臨床診断基準
・ウエスト周囲径の増加:集団および国別の定義による
・中性脂肪の上昇:>150 mg/dL
・HDLコレステロールの低下:男性<40 mg/dL、女性<50 mg/dL
・高血圧:収縮期 >130 mm Hg、拡張期 >85 mm Hg
・空腹時血糖値の上昇:>100 mg/dL
注目は、米国糖尿病学会(ADA)が共同声明に加わらなかった。
メタボリックシンドロームに関し、未解決の科学的問題がある。
メタボリックシンドロームを、心臓病や糖尿病の危険因子と
位置づけるやり方に反対、各危険因子を積極的に
治療することに重点を置くべき、と主張。
2005年、メタボリックシンドローム、症候群としての名称、
臨床的実用性の批判的評価を求める独自の共同声明を発表。
2008年、新しいメタボリックシンドロームの定義に関する
検討を開始、ADAが参加しないままで進めることに。
メタボリックシンドロームが、病気ではなく単なる危険因子の
集まりであることを強調。
メタボリックシンドロームの判定は、臨床医と一般の人の関心を
質の高い生活習慣の重要性に向けさせることを意図し、
心臓病や糖尿病の予測因子として使用するものではない。
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/10/16/109309/
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