(2009年10月16日 Medscape)
抑うつや不安などの精神疾患を持つ者は、
そうした疾患を持たない者よりも、体重が次第に増えていく
傾向が強いことが、新研究で示された。
この研究は、精神衛生が肥満に及ぼす影響を調べた
研究の中では最長のもののひとつ、
4000人を超える英国の公務員をほぼ20年間追跡。
抑うつ、不安といった精神疾患のエピソードを、
慢性もしくは反復性に有する者は肥満になる傾向が強い。
調査期間において、精神疾患の症状がひとつでもあった者が
最終検診で肥満になっていた確率は、
そうした症状を申告しなかった者の2倍。
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのMika Kivimakiは、
「調査を始めた時、肥満ではない者を対象。
精神疾患症状の申告回数が多いほど、調査期間が終わるまでに
肥満になるリスクが大きかった。
精神疾患と体重増加との間には、用量反応関係がある」
対象者は、1980年代中盤から末にかけての登録時に
35~55歳までだった公務員4,363名。
研究登録時と、平均19年間の追跡期間の中で3回、
精神衛生と身体の診察を行った。
身体所見には、体重、身長、肥満指数(BMI)。
体重増加が見られる抗精神疾患薬の使用といった
肥満の既知のリスク因子について調整すると、
調査開始時に抑うつや不安といった精神衛生上の問題を持つ者は、
それらを持たない者に比べて、肥満になる傾向が強かった。
抑うつ、不安、その他の精神疾患のリスクは、
肥満では有意に増えなかった。
『BMJ』オンライン速報版に掲載。
「体重増加が、精神疾患を誘発するのかどうかを
逆の方向で調べてみたが、その関係性は明白ではなかった。
ただ、関係性がないのではなく、今回の調査では
とても弱いものでしかなかった」
シアトルの精神科医、Gregory E. Simonは、
抑うつと肥満とが関係することはかなり強いエビデンスで示されたが、
その関係の向きについて、はっきりしていない。
「抑うつで、肥満のリスクが増える理由、肥満で抑うつのリスクが増える
理由としてもかなり有力。
その両方が起きている可能性が高いと思っている」
2006年のSimon博士の研究は、両方向の関係性が働いている
可能性を示している。
食欲が増し、運動量が減るのは抑うつの一般的症状で、
そのために体重が増える。
肥満には悪いイメージがつきまとうので、それで抑うつが誘発される
可能性もある。
米国人口の肥満率は、25~30%だが、
顕著な抑うつを持つ者の肥満率はその2倍。
「抑うつでは肥満があたりまえなので、
その2つを分離することはかなり難しい。
抑うつを持つ者は、結婚生活上の問題が起きやすく、
結婚生活上の問題を持つ者は抑うつになりやすいと言うのと同じ。
この2つを分離するには、相当に鋭利なナイフが必要」
Kivimaki, M., BMJ, 2009; vol 339: p b3765.
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/10/16/109308/
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