2009年10月18日日曜日

農業に学ぶ(11)団塊向け実践研修で汗

(読売 10月8日)

新規就農を目指す人たちのため、実践的研修の場がある。

埼玉県農業大学校では、「団塊の世代就農体験研修」。
農場の一角で、思い思いの作業着姿の熟年男女が一団となり、
農作業に汗を流していた。

葉が大きくなったサトイモには、追肥して土寄せ。
ニンジンの畝にも、堆肥をまんべんなくまく。
「身なりも決まっている。すっかり堂に入っている感じだね」、
「土いじりは子どもの時以来。けっこう楽しい」
軽口も飛び交い、和気あいあいの雰囲気。

畝を作る際は、まっすぐになるようひもを張り、
それに沿ってクワを入れる。苗は等間隔に。
講師の鈴木貫司さん(65)は、「基本が肝心。
目分量でいいかげんにやると、それなりの作物しかならない」

近くで農業を営む鈴木さん。
実は6年前、この学校で研修後、就農。
流通関係のサラリーマンだったが、定年後は地域に戻って
農業をやろうと、同校の門をたたいた。
農業に関する情報を得られる利点もあり、
3年前から後進の指導を引き受けている。

団塊の世代を対象にした研修は、3年目。
定年を機に農作業をしようという人が増える見通しが当たり、
春・夏・秋の年3回、各20人の定員に対し、4~5倍の応募。
本格的な農業を目指す人向けの研修でも、
新卒者や転職しようとする若い人の姿が目立ってきた。

農業大学校の目的は、高校を卒業した農家の後継ぎの育成。
同校県民学習部長の田中克典さん(53)は、
「若者の農業離れに悩むこともあったが、
近年は農業に対する関心の高まりで活気が戻ってきた」

「私が作りました。無農薬、無化学肥料でおいしいです」
手書きの看板と共に、色とりどりの野菜が並ぶ。
近所の主婦が詰めかけているのは、東京都目黒区の住宅街に
毎週月曜に開店する八百屋さん。

吉田仁さん(61)が、石岡市で妻と共に栽培し、
車で週末自宅ガレージに運んで販売。約35軒に宅配も。
農地が借りられない、売り先がない、赤字続き……と
苦しい時期を経て、今は年間約450万円を売り上げる。

定年後、何かをしなくちゃならない。
趣味を見つけるのも大変だし、ひきこもりになるのもいやだ」
50代半ば、新聞広告で見つけた農業セミナーを訪ねた。
就農準備校で稲作、野菜栽培を学び、
埼玉県内の農家で1年間住み込み実習。

「私がたどり着いたのは、直売と宅配だが、
課題を乗り越え収入を確保するのは簡単ではない」
就農までの道は、学校で学べる。
軌道に乗るまでの道のりは、各人が切り開かなくてはならない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091008-OYT8T00378.htm

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