2010年8月20日金曜日

地方再生へ"医商連携" 空洞化対策の動き広がる

(2010年8月9日 共同通信社)

商店主の高齢化や大型商業施設の郊外出店を受け、
地方で進む中心市街の空洞化。
危機感を強めた地元商店街が、医療や介護にかかわる施設と
連携して、人の流れを呼び戻そうとする動きが広がっている。
特に高齢化率が高い四国や九州で、"医商連携"が活発。

▽ワンストップ医療

高松市の中心部にある「高松丸亀町商店街」は、
地元開業医らと協力し、商店街の一角に各診療科が集まって
買い物の合間に診察が受けられる「医療モール」を10月開設。

同商店街では、後継者不足などで空き店舗が目につくようになり、
近くに住む高齢者が日用品購入に苦労する状況も。
医療機能を集めてワンストップサービス化し、再開発の核にしたい。

商店街振興組合の熊紀三夫専務理事は、
「市街地の医療が過疎化しているとの認識を、
県医師会と共有できたことで、計画が大きく進んだ」

先進医療を、"新規顧客"の誘致に結び付ける動きも。
年末、JR小倉駅北口に移転する小倉記念病院は、
中国やアラブ諸国の富裕層を対象に、
同病院での先進的な心臓治療を目的とした医療ツアーを計画中。

北九州市小倉地区中心市街地活性化協議会は、
ツアー参加者が近くの商店街で買い物する際に特典を付ける
サービスを検討。
同協議会の吉田潔さんは、
「商圏を拡大する千載一遇のチャンス」

▽福祉や子育て支援も

若い母親が本を読み聞かせるうちに、寝息を立てる幼児ら。
「子どもを預けて安心して、買い物が楽しめる。
良い場所ができて助かります」とやわらかな笑みがこぼれる。

熊本市「健軍商店街」は医療、福祉、子育て関連の本を貸し出す
図書室を、空き店舗に設置。
元看護師が無料で健康相談を受けるほか、
買い物中に子どもの世話もしてくれる。
傍らでは、年配の女性が友人と談笑しながら血圧測定。

総務省の人口推計によると、65歳以上の割合を示す
高齢化率は全国平均22・7%。
若年層が集まる福岡を除く九州6県は、24~26%台。
四国4県も25~28%台に。

医商連携を提唱する佐賀大経済学部の岩永忠康教授は、
「高齢化が進む中、医療を媒介に中心商店街を交流の核として
盛り上げることができるのでは」と期待。

▽移転で城下町は危機

病院城下町として栄えた街が、病院の移転で危機に陥る事例も。
老朽化などで、2012年度に郊外移転する佐賀県立病院好生館。
近くの「新道商店街」で、老舗の薬局を営む川内嘉昭さん(66)は、
「売り上げの9割が病院関連。
移転したら、店だけでは食べていけない」

跡地利用を主導する佐賀市は、「具体的な計画は未定」と素っ気ない。
跡地は、公益性確保や周辺住民への配慮などが欠かせず、
集客施設などの誘致は簡単ではない。

県立病院に代わる連携相手を探し当て、商店街のピンチを回避できるか。
商店主らは、医療の「集客力」の大きさにあらためて気付かされている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/9/123797/

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