2010年8月21日土曜日

市町合併の久喜市でシンポ 「覚悟して利用を」 医療の窮状を市民に問う

(2010年8月11日 Japan Medicine(じほう))

3月の1市3町の合併で、人口15万7000人となった
埼玉県の久喜市の医療提供体制をめぐり、
市民団体が市民公開シンポジウムを開催。

旧久喜市には、中核となる総合病院はなかったが、
合併によって旧栗橋町にあった済生会栗橋病院、
厚生連の久喜総合病院(2011年4月開院予定)が、
新たな久喜市の医療の中核を担う。

シンポジウムには市長をはじめ、地区医師会長、
2つの基幹病院の院長らが参加、市民に厳しい現状を訴えた。

田中暄二市長は、「合併前の市は、総合的医療機関がないことが
欠点だった」と、久喜総合病院の誘致について説明。
久喜市医師会の高木学会長は、2つの病院が増えても
医療従事者の不足から、すべての救急患者を市内の医療機関で
治療することはできない、との認識。
トリアージの実施や疾病ごとの救急輪番体制の構築を提案。
市民に対しては、コンビニ受診の抑制を訴えた。

栗橋病院の遠藤康弘院長は、外来患者数の縮小・病床再編・
逆紹介率の向上などで、医師不足を乗り切ってきた現状を説明。
幸手総合病院の井坂茂夫院長も、診療科の閉鎖で
医師不足をしのぎ、久喜市から35億8000万円の補助金を得て、
新築移転するまでの経緯を説明。
移転時、救急専従医2人を確保できたことについて、
「地域の方々も、覚悟して利用していただきたい」、
受診の際、診療所からの紹介状を持ってきてくれるよう訴えた。

シンポジウムは、1市3町合併後の久喜市の医療を守ろうと、
久喜市医療を考える市民の会が企画。
市民の関心は高く、会場となった約350人収容のホールは
立ち見の聴衆が出た。

シンポジウムの司会を務めた栗橋病院の本田宏副院長は、
医療を守るには、市民の協力が不可欠。
シンポは、市民としての自覚をもった行動の第一歩になった

◆2病院増でも「なお深刻」

埼玉県は、人口当たりの医師数が最も少ない県、
久喜市は人口10万人当たりの医師数は107人と少なく、
全国平均206人に遠く及ばない状況。
久喜市がある利根保健医療圏も、崩壊の危機にあることから、
国の地域医療再生計画に選定。

旧栗橋町にあった済生会栗橋病院を加えて、
現在久喜市の医療は7病院、78診療所で支えられている。
来年4月、厚生連の幸手総合病院が、
隣の幸手市から久喜市内に移転し、久喜総合病院として開院。

10万人当たりの医師数は132人に改善されるものの、
全国平均に比べれば、依然少ない状況に変わりはない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/11/123927/

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