(2010年8月11日 読売新聞)
初めて体内に侵入した病原微生物に対し、
免疫細胞を改良して、事前にワクチンを打っておいたように、
素早く十分な免疫反応を起こすことに、
東京医科歯科大の鍔田武志教授と松原直子・特任助教らが成功。
マウス実験の段階だが、変異を繰り返すインフルエンザウイルスなど、
あらゆる微生物による感染症を防御する薬の開発につながる。
免疫反応(抗原抗体反応)では、リンパ球の一種のB細胞が、
病原体(抗原)ごとに抗体を作って攻撃する。
初めての病原体に反応したB細胞が、大量の抗体を作るまでに
1~2週間かかるが、B細胞の一部が抗体の作り方を記憶。
同じ病原体が再度入ってきた時、大量の抗体を2、3日で作ることができる。
ワクチンは、この反応を利用。
鍔田教授らは、B細胞表面の「CD22」という膜たんぱく質が、
初めての病原体に反応した時に作られる抗体の量を
抑制していることを突き止めた。
遺伝子操作で、CD22をなくしたマウスに病原体を注入すると、
初めての病原体なのに、素早く大量の抗体ができた。
自分自身の正常な細胞まで攻撃してしまう自己免疫疾患や
アレルギーなどの異常は見られなかった。
CD22の働きを妨げる化合物も合成し、国内、国際特許を申請。
製薬企業と連携し、従来のワクチンとは異なる
新しい予防・治療薬の開発を目指す。
鍔田教授は、「病原微生物を標的にしないため、
薬剤耐性菌や耐性ウイルスが出現する心配がない」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/11/123900/
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