(毎日 8月7日)
7月の参院選を控え、民主党のマニフェストから
「スポーツ」の文字が消えた。
民主党議員の一人は、「マニフェストには当初、スポーツ振興策を
盛り込む案が出されていた。
総理が代わって、最後は執行部に一任となった後、それが削られた」
政権交代後、鳩山由紀夫前首相は昨年10月の所信表明演説で、
「新しい公共」の理念を打ち出し、「スポーツや芸術文化活動、子育て、
介護などのボランティア活動、環境保護運動、地域防災、
そしてインターネットでのつながりなどを活用して、
『誰かが誰かを知っている』という信頼の市民ネットワークを
編みなおす」ことを訴えた。
しかし、退陣後のどたばたの中で、スポーツ政策の優先順位の
低さが露呈される形となった。
自民党は、マニフェストでスポーツ庁の設置や国際競技力向上をうたい、
20年夏季五輪と22年サッカー・ワールドカップの招致も盛り込んだ。
みんなの党は、アジェンダに東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国
による五輪共同開催を唱え、アジアの中の日本を意識した外交を主張。
◆地域スポーツ重視
61年、スポーツ振興法制定から半世紀が過ぎ、
超党派のスポーツ議員連盟は、新たな法整備の必要性から
スポーツ基本法の制定を検討。
民主党と自民党の足並みがそろわず、
昨年7月に自民、公明両党だけの議員立法で法案を提出、廃案。
民主党は今年5月、同党独自のスポーツ議員連盟を発足。
同議連の奥村展三幹事長は、
「自民はトップダウン、民主はボトムアップ。
独自のスポーツ議連をつくる必要があった」と、
五輪などを目指すトップ選手の国際競技力向上に重点を置く
自民党に対し、民主党は底辺の地域スポーツを重視していると
政策の違いを説明。
別のメンバーは、「スポーツ団体を旧政権と引き離すため、
民主党に陳情の受け皿をつくった側面もある」
スポーツ団体と自民党は長年、有名選手の参院比例代表出馬、
議員のスポーツ団体役員就任、予算の陳情などで蜜月の関係に。
民主党は、7月の参院選で敗れたが、比例代表に
柔道の谷亮子氏を立てて初当選。
さっそく議連の会長に、知名度の高い谷氏が就任することを決めた。
党内には、「スポーツを政争の具にすべきでない」という声。
◆一転、選手強化も
民主党は、09年「政策集インデックス」で、
地域密着型スポーツクラブの振興や公共スポーツ施設の
芝生化事業を打ち出すなど、地域スポーツを重視。
政権交代後、初めての予算編成では一転して、
五輪を目指すトップアスリートの強化を目的とした
「マルチサポート事業」に、前年度比6倍の予算をつけるなど、
スポーツ政策の「揺れ」が見られた。
鈴木寛・副文部科学相は、「今までは自民党がトップスポーツで、
民主党は地域スポーツのようなレッテルを勝手に張られていたが、
二項対立は非常に不毛で、トップスポーツと地域スポーツが
好循環になっていくことが大事」
国会での議論が想定されるスポーツ基本法への対応を含め、
民主党政権がどんな姿勢を打ち出すか?
日本のスポーツ振興を方向づける全体像は、まだ見えてこない。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100807ddm035050027000c.html
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