2010年10月15日金曜日

筋肉分子の“2足歩行”直接撮影に成功

(サイエンスポータル 2010年10月12日)

筋肉の動きを分子レベルで直接、撮影することに、
金沢大学の研究グループが初めて成功。

筋肉の動きが、アクチンとミオシンというタンパク分子によって
行われていることは、早くから知られている。
二つの“脚”を持つミオシンが、アクチンの上を人が歩くように
交互に前進するという動きの基本も分かっていた。

蛍光顕微鏡によるこれまでの観察では、ミオシンが実際に“歩いている”
状態を直接、観察することは顕微鏡の性格上できなかった。

金沢大学理工研究域数物科学系の安藤 敏夫・教授と
古寺 哲幸・助教らは、原子間力顕微鏡の可視化速度を、
約1,000倍高める改良を行い、ミオシンの“歩く”様子を
はっきりととらえること成功。

ミオシンの動きをとらえた映像は、金沢大学生物物理学研究室の
ホームページで公開、これまで考えられていたのとは異なり、
ミオシンの歩き方は、前足が軸足になり、その回転する動きで
後ろ足が前足の前方に出る、という繰り返しによって
行われていることが初めて分かった。

原子間力顕微鏡は、針を試料の1点1点に接触させて、
分子全体の形を直接見ることができる。
これまでの装置では、1点1点の接触を分子全体で行うには
相当の時間がかかるため、分子の動きは見えなかった。

生体分子の動きを直接観察できることは、ミオシンに限らず、
さまざまな生体分子の機能解明にも大きな武器となることから、
改良された原子間力顕微鏡は、ナノテクノロジーの発展にも
大きな貢献が期待できる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1010/1010121.html

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