2010年10月11日月曜日

部活新時代(3)応援の輪 ネットで拡大

(読売 9月25日)

〈空想の世界の中で描いていた「筑紫高校の校歌斉唱」。
これを現実の世界で見ることができ、すばらしい幸福感を味わいました。〉

福岡県立筑紫高校の野球部を応援するサイトの掲示板に、
試合を見た46歳のOBから書き込み。
入学した31年前に野球部はなく、机にユニホームの落書きをしては
野球部創設を夢見た、とつづられていた。

創部9年目の今夏、県大会で初のベスト16進出を果たした同高野球部。
大会の季節になると、卒業生のほかにも、
近所の人やファンから応援の書き込みが多数。

塩崎健司監督(52)は、掲示板の文章を部員たちに読み上げた。
「『これだけの人に注目されているのだから、勝たなくては』という、
いい意味での緊張感が選手たちを奮い立たせた」

応援する人と野球部の橋渡しをするこのサイトは、
「部活ガンバドットコム」。
福岡県内の中学校・高校にある運動部の試合結果や日程を掲載。
高校102校の野球部と48校のサッカー部は、
個別の掲示板も開設し、それを見た人が感想を書き込める。
運営費は、地元企業からの協賛金でまかなっている。

06年、サイトを立ち上げ、管理人を務める元中学校教諭の
森省三さん(49)は、「部活の主役である子どもたちが、
『頑張ろう』と思えるような応援ネットワークを築きたかった

部活動は生徒、保護者、教師の間で完結しない。
その周囲では、卒業生や住民ら多くの人たちが見守っており、
試合の観戦に来たり、結果の知らせを待ち望んだりしている。
部活を紹介する各校のサイトには、手間がかかるため、
長い間更新されていないものもあり、
情報が十分に発信されていないのが現状。

部活ガンバに掲載する情報は、森さんが自ら取材に駆け回るほか、
教員時代に築いた学校の人脈を生かし、様々な方法で入手。
試合の時、会場から森さんのもとに、途中経過の連絡が次々に入り、
すぐにサイトに反映。
福岡県高等学校体育連盟など、加盟競技団体の試合結果を載せている。

「ネットにつきものの匿名による中傷の書き込みはゼロではないが、
ほとんどは協力的な書き込み。
昔のように、子どもの面倒を見たがる大人たちを、
部活ガンバを通して増やしていきたい」と、森さんは意気込む。

サイトの月間閲覧数は約510万件、開設当初のおよそ50倍。
部活ファンの輪を、ネットが着実に広げている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100925-OYT8T00228.htm

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