2010年10月13日水曜日

部活新時代(5)複数種目で「得意」発見

(読売 9月30日)

運動場の片隅で、腰にタグを付けた子どもたちが走り回っている。
「やったー」と、無邪気な歓声が上がる。
熊本市中心部にある市立一新小学校。
「総合運動部」の活動を見守る2人の大人は、同小の教員。

総合運動部とは、楽しみながら運動の機会と量が確保できるよう、
複数の種目を行う部活のこと。
少子化による部員減やニーズの多様化を背景に、
2000年、中央教育審議会が提案。
同市では、03年から市教委が導入を推進、
現在は小学校92校中25校で、活動が行われている。

一新小の総合運動部は、4~6年生の男女約30人が所属。
活動は週2回、種目は学期ごとに変え、1学期は各種ボール運動、
2学期は腰のタグを取り合う「タグラグビー」、3学期はマット運動。
この日は、タグラグビーの前段として、ジャンケンなどを
取り入れた運動を1時間行った。

同小の運動系の部活は、学校主催では同部だけ。
このほか、学外者が指導・運営に当たる野球やサッカーなどの
クラブチームがあるが、総合運動部担当の後藤敬光教諭(47)は、
「総合運動部は、『勝利至上主義』ではなく、授業でもないから、
怒ったり難しい説明をしたりもしない」
クラブチームとは活動目的が違うため、選手の取り合いもない。

「主将」は置かず、6年生が下級生を指導するのは準備運動ぐらい。
緩やかな上下関係の中で、団体行動の基本を身に着けさせるため。
6年生のNさん(11)は、「学年に関係なく遊べるのが一番楽しい」

親の評判も上々。
5年生の娘を通わせる藤本美佐子さん(41)は、
「野球でバットなど使えば、ケガが心配。
学校の先生が指導し、適度な運動で暗くなる前に
帰宅させられるから安心」

文部科学省の09年度「全国体力・運動能力、運動習慣調査
(全国体力テスト)」では、体育の授業を含めた1日の運動時間が
60分未満の児童は、男子で10・5%、女子は22・6%、
体力と密接な相関関係があることが確認。
東京都教委も今年度、「1日60分運動」に向けた総合運動部の
モデル校3校を、初めて指定。

活動場所や指導教員の確保という課題も、浮き彫りに。
桐蔭横浜大学の園山和夫教授(保健体育科教育学)は、
「多種目に取り組ませるのは、得意な運動を見つける意味で有意義。
地域の人材や施設を活用した運営を検討していくべき」

◆全国体力テスト

子どもの体力低下の深刻化を受け、小5、中2の全児童・生徒を
対象に、2008年度から毎年実施。
握力、ボール投げ、反復横とび、50m走など、
8種目の総合で点数を出す。
都道府県別データも公表。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100930-OYT8T00239.htm

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