2010年10月10日日曜日

部活新時代(2)低くなった男女の壁

(読売 9月24日)

「ハルちゃん!!」と声をかけ、男子部員がパスをする。
私立同志社香里高校のラグビー部の練習。
ボールを受けるのは、部員57人中、唯一の女子部員である
2年生の堀内春香さん(16)。

身長1m52と小柄な堀内さんは、中学2年生の頃から、
地域の女子クラブチームでラグビーを続けてきた。
練習は日曜日のみで、「毎日できる部活動で力をつけたい」と、
高校でラグビー部を選んだ。
「女子だけの練習とは比べものにならないほど運動量が多く、
自分にプラスになる」と笑顔。

清鶴敏也監督(49)は、「最初は女子を入れるのに不安があった」
体格差があり、一歩間違えれば大けがをする危険性がある。
熱意に負けて入部は許したものの、試合出場は認めず、
練習中も堀内さんへのタックルは禁じている。

男子部員は部室で着替えるが、堀内さんは更衣室。
男子と別行動になり、練習後は1人で帰宅する日も少なくない。
後に続く女子部員はおらず、女子ラグビー部創設への道のりは遠い。

日本ラグビーフットボール協会によると、
中学・高校での女子ラグビーは、部活動の段階には至っていない。
「男子の球技」との印象が浸透し、部をつくるだけの人が集まらない。

2016年リオデジャネイロ五輪で、男女ともに
7人制ラグビーが正式競技になる。
同協会は、これを好機ととらえ、「学校に女子ラグビー部があれば、
女子生徒がラグビーに触れる機会が増える」、
全国の中学校や高校に対し、部の創設を働きかける考え。

女子部員の多い競技で、男子が活躍できる場もある。
私立長崎玉成高校のハンドベル部は、部員21人中、男子が2人。
教会などで奏でるハンドベルには、繊細なイメージがあるが、
部が使用するベルは、重い物で4kg近く。
それを振るのに、男子の腕力が生きてくる。

「いい音は、余力がないと出ない。
オール女子より、男子もいた方が優しい音が出る。
男女で一緒に演奏できるのは、非常にいいこと」、
顧問の上戸綾子教諭(55)。

シンクロナイズド・スイミングやチアダンスでも、男子が表現する時代に。
部活動における男女の壁は、低くなりつつある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100924-OYT8T00179.htm

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