2010年10月11日月曜日

ノーベル平和賞:中国の劉暁波氏に…服役中の民主活動家

(毎日 10月8日)

ノルウェーのノーベル賞委員会は、
「長年にわたり、非暴力の手法を使い、中国で人権問題で
闘い続けてきた」、中国の民主活動家で作家の劉暁波氏(54)に、
10年ノーベル平和賞を授与。

同委は、事実上の世界第2の経済大国となった中国が、
人権問題でも国際社会で責任ある役割を果たすよう、強く求めた。
中国政府は、劉氏への授与決定を伝える衛星放送を一時遮断、
外務省が「(劉氏は)犯罪者で、授賞は平和賞を冒とくしている」との
談話を発表するなど、強く反発。

◇中国反発「賞を冒とく」

劉氏は08年12月、中国共産党の一党独裁を批判する
「08憲章」を起草した中心人物。
08年拘束、今年2月、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑が確定、
服役している。
89年6月、天安門事件でも学生を支持して投獄。

同委は授賞理由について、中国では「言論、出版、集会、結社、
抗議活動の権利が極めて限定されている」
20年以上にわたり活動を続けた劉氏を、
「人権運動の第一人者」と高く評価。

劉氏が、自身の懲役刑について、「中国の憲法、基本的人権の
双方に違反している」と主張。

ヤーグラン委員長は、「反体制派への授賞は反発を招くと、
中国から警告を受けていた」と明らかにし、
「中国がより民主的な国になるために、他の人が言えないことを、
我々は言わなければならない」、
人権と平和を最重視する考えを強調。

同委員会は昨年、就任直後で実績のないオバマ米大統領に
授与したことが議論に。

◇米大統領「歓迎」

オバマ大統領は、授賞決定を「歓迎する」との声明を発表、
中国政府に同氏の即時釈放を求めた。
声明では劉氏を、人権と民主主義など「普遍的な価値観を広める
雄弁で勇気ある人物」と称賛。
中国の「政治改革が(経済成長に)追い付いていないことを想起させる」

◇劉暁波◇

1955年、中国吉林省生まれ。
北京師範大講師だった88年に渡米、民主派の在米中国人組織
「中国民主団結連盟」のアピール、「中国大学生に告げる公開書簡」の
起草に加わった。

89年、中国の民主化運動を知って帰国。
同年6月、天安門広場でハンストを行うなど一連の運動に加わり、
天安門事件後に拘束。
事件後、学生指導者らの多くが出国したのに対し、国内にとどまり、
民主化を求め続け、90年以降、断続的に身柄を拘束。
現在、遼寧省の刑務所で服役。

◇08憲章◇

08年12月10日付(発表は9日)、中国の作家ら303人が
連名で出した中国の民主化を求める宣言文。
中国共産党の一党独裁体制の廃止や三権分立、集会の自由など、
人権状況の改善などを求めている。
劉暁波氏ら作家や弁護士、学者らの著名人が実名で発表。
多くの著名人が、中国共産党の統治を公然と批判したのは異例。
国内外で大きな反響を呼び、インターネット上では約1万人が署名。
劉氏は、発表の前日に拘束。

http://mainichi.jp/select/world/news/20101009k0000m040010000c.html

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