2010年10月12日火曜日

南ア、最悪のサイ密猟被害 アジアの漢方薬需要で急増

(2010年10月1日 共同通信社)

夜間にヘリコプターから、サイを射殺。
チェーンソーを使い、数分で角を切断し逃亡-。

南アフリカでサイの密猟が急増、今年は既に過去最悪の被害を記録。
角を漢方薬の原料として珍重する中国や東南アジアでの需要増が
背景にあるとされ、保護活動家らは、
「国際的な組織犯罪」として、関係国に対策を求めている。

「密猟者を見つけたら、撃ち殺してやりたい」
ヨハネスブルク郊外で、約1200haの動物保護区を運営する
エド・ヘーンさん(69)が、怒りをあらわにした。

5月29日朝、スタッフが保護区で、大人と子供のシロサイが
殺されているのを発見。
大人の方は、角を2本とも切り取られていた。
約20年前、個人で保護区を開いてから初の密猟被害。
サイを殺すための薬物が、銃で撃ち込まれた痕跡があった。
目撃情報はないが、過去の摘発例から、
ヘリを使って犯行を重ねる密猟組織の仕業であるのは明白。

南ア国立公園当局によると、2007年に13頭だったサイの密猟被害は、
08年は83頭、09年は122頭と急増、
今年は9月23日までに既に210頭が犠牲。

密猟組織の標的は、警備を強化した国立公園から
小規模な個人の保護区に移行。
別の保護区で殺されたサイの子供3頭を引き取り、
育てているヘーンさんは、自費で警備員を増やした。

サイの角は、アジアでは1kg、数百万円で取引。
世界自然保護基金(WWF)などによると、中国のほか、
経済成長で中間所得層が増えたタイなどで、需要が増加。
「角ががんに効く」という風説が広まったベトナムも、巨大市場化。

08年、在南アのベトナム大使館前で、ベトナム人外交官が、
角を違法取引している様子をテレビ局に撮影、本国に召還された。

WWFで、アフリカのサイ問題を担当するジョセフ・オコリ氏や
専門家の多くは、「角に医療効果がないことは、科学的に証明済みだ

食肉目的の狩りなど、いったん大幅に減った南アのサイは、
地道な保護活動の結果、増加傾向に転じ、
現在はシロサイとクロサイを合わせて推定2万4700頭が生息。
世界の生息数の8割。
密猟が続けば、再び減少に転じる恐れがある。

捜査当局は9月下旬、南ア北東部で密猟を重ねていたとして、
男女11人を逮捕。
逮捕者には、野生動物の保護活動に携わっていた獣医師2人や、
サファリ観光会社経営者も含まれ、南ア社会に衝撃を与えた。

ヘーンさんは、「関係国が協調し、国境管理を強化することが重要」
「密猟される前に、角に毒を注入しておき、薬として使えなくすればいい。
サイの健康には影響しない」と、持論をまくしたてた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/1/126353/

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