2010年10月16日土曜日

部活新時代(8)文武両道支えるカード

(読売 10月6日)

「今日は、部活に遅刻したから『時間』の欄は×。
でも、大声を出せたから『気合』は○……」
埼玉県白岡町立南中学校の剣道部2年、田中真由佳さん(14)が、
稽古中の自分を振り返りながら、カードに○×をつけていく。
練習してうまくできた技や、重点的に取り組んだ課題も書き込んでいく。

田中さんがつけていたのは、「剣道生活カード」。
A4判で、部活だけでなく、起床時刻、朝食、授業から夕食、消灯まで
22項目の生活全般のふり返りと評価が、1か月分記入。
裏面には、自主練習の内容などが書き込める。

カードは約20年前、顧問の野口敏彦教諭(54)が、
当時赴任していた町内の別の中学校の剣道部で、初めて導入。
9年間に団体、個人合わせて7回、全国大会出場へ導いた。
1日1回、反省し、自分の成長を確かめる機会を得ることで、
自己管理能力が高まり、練習の目的意識も向上する。
それは、勉強する上でも役立つはず」と野口教諭。

野口教諭は昨年春、南中に着任し、カードもこの9月に始まった。
9月末に開かれた地区予選の団体戦では、
田中さんら女子チームが優勝。
個人戦も、男女6人が10位以内に入った。

田中さんは、「最初は面倒くさかったけど、前日の記録を見ながら、
『今日はどういうふうに工夫しようか』と考えるようになった」

カードから判明した苦手な技を克服したり、得意技を磨く
「課題練習」では、生徒がペアを組み、互いに助言しながら打ち込み合う。
野口教諭は、「上達するには、自分で考えて練習しなくては。
一種の問題解決型学習」、決して部員をどならない。

県大会は11月。
部員たちは、カードをペースメーカーに、いっそう稽古に励んでいる。

2008~09年の学習指導要領改定では、部活と授業など
教育課程の関連を図ることが明記。
野口教諭のような実践は、まだ少ない。

西島央・首都大学東京准教授は、
「新しい制度や特別な予算が必要な場合も考えられるが、
自治体の動きも鈍い」。

西島准教授らのグループが、東北から九州まで
8都県内の全教育委員会を調査したところ、
教育課程との関連付けを検討しているのは、
回答があった教委の2割にすぎなかった。
西島准教授は、「教委は現場に丸投げせず、積極的に取り組んでほしい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101006-OYT8T00228.htm

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