2010年10月15日金曜日

厩猿信仰の謎に迫る 奥州・前沢で企画展

(岩手日報 10月8日)

奥州市の牛の博物館(内田宏館長)は、
企画展「厩の記憶―なぜ猿はそこに居たのか」を開催。

猿の骨を、牛馬の小屋に祭る民間信仰「厩猿(うまやざる)」について、
収集と調査の先導的役割を果たしてきた同館の研究の集大成。
奥州市内で発見された16点の厩猿を展示し、
歴史的背景や猿の来歴など、謎の多い信仰に多角的に迫る。

厩猿は、牛馬の守り神として全国で確認されている信仰だが、
詳しい意味や由来は分かっていない。
全国で82例が確認、うち奥州市内の発見が18例と突出。

同館では、2004年に企画展を開催後、
地域から情報が寄せられるようになり、本格的に研究を開始。
京都大霊長類研究所の故中村民彦さんらと連携、
東北の厩猿情報収集、研究を担ってきた。

企画展に合わせた調査でも、江刺区米里地区から厩猿を
相次いで発見。
実際に牛のいる牛舎に祭られた、貴重な「現役の厩猿」も確認。

企画展では、奥州市内で発見された厩猿について、
祭り方や口承、猿の性別、年齢などの説明を加えて展示。
同館の所蔵する全国の牛馬安全札60点も展示、
厩猿につながる牛馬信仰の多様性を紹介。

生きた猿を厩につなぐ古来の風習や、厩猿が明治以降廃れた原因など、
信仰の系譜や歴史にも迫る。
厩猿のDNA分析では、北上山地(北上高地)や奥羽山脈など、
猿の生息域も明らかにする。

小野寺義文館長補佐は、「地域住民の協力で、
貴重な厩猿を一堂に展示できた。
牛馬の産地である本県と厩猿のかかわりは深い。
謎の多い信仰について、現在までの研究成果を紹介している」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101008_16

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