2010年10月13日水曜日

途上国の子供の命の保護に取り組むユニセフ東京事務所長の平林国彦さん

(2010年10月1日 共同通信社)

筑波大での博士課程の修了間近、心臓外科医として
一歩を踏み出そうとしていた1994年、
ふとしたきっかけで見た1枚の写真が、人生を変えた。
その写真が、今もオフィスの壁に掛かる。

「ハゲワシと少女」。
飢餓が深刻化するスーダンで、飢えのために歩けなくなり、
うずくまる少女を見詰めるハゲワシ。
後にピュリツァー賞を受賞し、世界的な注目を集める
この写真に、大きな衝撃を受けた。

「神の手を持つといわれる心臓外科医でも、1年間に救える人の数は
せいぜい300人。
発展途上国の貧困問題に取り組めば、何万の子供の命が救える

以来、ボリビア、コロンビアなど、多くの国で病院の技術指導に従事、
紛争中のレバノンや米軍進攻直後のアフガニスタンでの
勤務経験も持つ。
4月、国連児童基金(ユニセフ)東京事務所代表に就任。

「ボリビアの病院に運ばれてくる子供は、栄養失調や病気で
手遅れの子ばかり。何をしていいかすら分からなかった」

途上国の乳幼児の死亡率は依然として高く、先進国との格差は大きい。
「この巨大な不公平を見過ごすことは、正義をないがしろにすること」

日本の政府開発援助(ODA)は、減少が続き、途上国の貧困問題への
社会の関心も高くはない。
「財産を失うことは恐ろしい。
今の日本にとって一番恐ろしいのは、長く大切にしてきた正義を失うこと」、
あくまでも「正義」にこだわる。
長野県出身、52歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/1/126354/

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