2010年12月6日月曜日

ヒ素で成長する細菌発見 異なる生命要素の可能性も

(2010年12月3日 共同通信社)

通常の生物にとっては有毒なヒ素を、生命活動の根幹となる
DNAに取り込んで成長できる細菌を発見したと、
NASAなどの研究グループが2日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表。

地球上の生物は、主に炭素、酸素、水素、窒素、リン、硫黄の
6元素でつくられ、これらは生命活動に不可欠。
この細菌は、リンをヒ素に換えても生きることができる。

現在知られているものとは異なる基本要素で、生命が存在する
可能性を示すもので、生命の誕生、進化の謎に迫る発見といえそう。

専門家らは、生命を構成するのが6元素であることを前提に、
地球外の生命探しを進めているが、研究グループは、
「どのような物質を追跡の対象にするか、
より真剣に考えなければならない」

米カリフォルニア州にあるヒ素濃度の高い塩水湖「モノ湖」に
生息する「GFAJ1」という細菌に着目。

ヒ素が多く、リンが少ない培養液で培養すると、
リンが多い培養液よりは成長は遅くなるものの、
細胞数が6日間で20倍以上に増え、
GFAJ1はヒ素を取り込んで成長することを確認。

細胞内の変化を詳しく調べると、DNAやタンパク質、脂質に
含まれていたリンが、培養によってヒ素に置き換わっていた。
リンとヒ素は、化学的性質が似ているため、
このような現象が起きたと考えられるが、どのように置き換わるか、
置き換わった分子が細胞の中でどのように働くかは分からない。

◆山岸明彦・東京薬科大教授(極限環境微生物学)の話

ヒ素は、生物にとって猛毒だが、リンと性質が似ているので、
ヒ素を使う生物がいてもおかしくはないと考えられていた。
今回、具体的に生命にとって、非常に重要なDNAにまで
ヒ素を使っている生物が確認され、生物の在り方を広げた。
これまでとは異なった形で生物が存在する可能性が広がり、
地球外の生物を探す際、地球と似た環境にこだわるのではなく、
範囲を広げる必要が出てくる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/3/129238/

0 件のコメント: