2010年12月11日土曜日

インタビュー・環境戦略を語る:住友生命保険・佐藤義雄社長

(毎日 12月6日)

メーカーや小売りと異なり、保険という形のない商品を扱う生命保険業界。
住友生命保険は、06年「スミセイ環境方針」を策定し、
環境負荷低減に向け、自然保護活動の支援やボランティア活動などを
積極的に行っている。
佐藤義雄社長に、具体的な取り組みについて聞いた。

--スミセイ環境方針の理念は?

住生は、「豊かで明るい長寿社会の実現」を目指す。
本業である生保事業の公共性や社会的責任を踏まえ、
事業活動を通じて、地球環境問題への対策にも
積極的に取り組もうという姿勢。

--具体的な取り組みは?

◆08年から、石垣島とフィジーで、サンゴ礁保全プロジェクトを始めた。
サンゴ礁は、数多くの生物の貴重なすみか。
石垣島では、サンゴの生育に悪影響を及ぼす赤土の流出を
防ぐための植栽、子供たちへの環境教育、
フィジーでは、サンゴの植え付けをそれぞれ行っている団体に、
社内の基金から毎年寄付。
フィジーでは、今年3月末までに1万5000本以上の植え付けに成功。

--保険の分厚い約款などは紙資源を大量に使う。

◆商品内容を丁寧に説明すると、どうしてもページ数が増える。
住生では、08年から約款をCD-ROM化し、
紙の使用量を年間約400トン削減。
紙の約款も選べるが、CDを選んでもらうと、
契約1件につき10円がサンゴ礁保全プロジェクトに寄付される。
同プロジェクトへの支援額は、基金からの寄付も合わせ、
今年度末で累計約8500万円となる見込み。

お客様への連絡を、封書でなく電子メールで行うサービスも以前から実施、
今年4月から、新規利用1件につき10円を自然保護団体に寄付。

--全国の営業職員による活動は?

営業職員や内勤職員らによる地域ボランティア活動を92年度に始め、
09年度は植林や里山保全、竹林整備など239活動に
延べ2万7267人が参加。
日常的な訪問活動の中、お客様から応援したい
環境・社会貢献活動に投票してもらい、票数に応じ住生が寄付する
キャンペーンも行っている。
サンゴ礁保全プロジェクトには、08~09年度で10万票以上が集まり、
50万円を超す寄付を上乗せした。

--今後の環境対策の方向性は?

◆既存の活動を息長く続けることが大切。
住友のルーツである別子銅山(愛媛県)では、製錬に使う燃料用に
多くの木を伐採し、煙害や洪水の被害が広がった反省から、
積極的な植林に努めた経緯も。
環境を大事にし、地域と共生しようという伝統を引き継いでいきたい。
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◇さとう・よしお

九大卒。73年住友生命保険入社。株式運用部長、証券投資部長、
総合法人本部長などを経て、07年7月から現職。福岡県出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/12/06/20101206ddm008020054000c.html

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